第14話 竜虎相見える

12/26に第13話を更新しました。

この第14話から蓮也視点に戻ります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー


放課後、千堂さんに諸々の確認をするために校舎裏へと向かう。

神谷先輩も一緒だ。


校舎裏に行くと千堂さんが先に来ていた。


「あ、十宮く…」


千堂さんはこっちに気付いて、なぜか急に固まった。

ピシッていう音を聞いたような気がした。



「だ、誰ですか!その人!」


復活した千堂さんが叫ぶ。


「あぁ、えっとね、この人は…」


僕が神谷先輩のことを説明しようとすると神谷先輩は


「大丈夫、自分で言うよ」


と小声で言って千堂さんに方を向いた。


「どうも。ボクはれ……十宮君の」


そこでなぜか神谷先輩は僕の方をチラッと見て少し微笑むと、


「友!達!の神谷那月だ」


友達の部分を強調して言った。

すると、千堂さんも


「どうも!私はれ……十宮くんの友!達!の千堂花音です!」

やはり友達の部分を強調して言った。


あぁ、良かった。千堂さんはちゃんと僕の友達だった。

というか、なんか自己紹介をしているだけなのに謎の圧を感じる。

前にも似たような圧があったような……。

しかもなぜか2人の間に火花が見える。

なんでだろう?


あ、これがあれか⁉︎

友達の友達は友達じゃないっていう謎の哲学か⁉︎

今まで友達がいなかったから分からなかったけど……もしかして、これがそういうことなのか?



2人が向き合って少し経ってから、ふと神谷先輩が口を開いた。


「そういえば」


「なんですか」


「君はロボットや幽霊だったりするかい?」


「何言ってるんですか?そんなわけないでしょう」


「だそうだ、十宮君」


あ、そうだ。僕はそれも確かめに来てたんだった。

謎の圧があったから何も言えなかった僕の代わりに聞いてくれたのか。


何かに気づいた様子の千堂さんは


「あ!それ自分だけが言われたってことですか!」


「なんのことかな?」


「しらばっくれても無駄ですよ、十宮くんが代わりに言ってくれたっていう顔をしてますよ!」


どんな顔なんだ。もしかしてエスパーか何か……?



その後なんやかんやで3人で一緒に帰ることになった。

帰る前に、2人が笑顔で


「「よろしくお願いします」」


って握手してた時はなぜだか震えが止まらなかった。

ホラー映画を観た時と同じような震えだった。

不思議だ。



「そういえば千堂さんは帰りはこっちでいいの?」


「はい。十宮くんの家と同じ方向ですよ」


「そうなんだ」


なんでナチュラルに僕の家を知ってるんだろう?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る