マテリ

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第1話「はじまりはいつだって大胆」

「スレート出現!風切地区、噴水広場です!」

連絡を受けた青年は怪物、スレートの元にバイクで向かう。

制服を着た隊が周辺の人々や住民を避難させていく。

「周辺住民の避難、全て完了!」

青年はテープで囲われた広場に単身走っていく。走りながら青年はベルトを取り出し、そこに小さなドアのようなものを装填した。


それから時間は少し遡る。


高校3年生の木沢比呂哉はその日、居残りさせられていた。自分だけ進路が決まっていなかったからだ。

「木沢、確かにお前の成績なら何やっても上手くいくよ。でもさー」

比呂哉の担任教師は、そう言いながら彼の進路志望のプリントに目を向ける。そこには3つある欄の一番上に「ヒーロー」とだけ書かれていた。

「なー、木沢?進学とかどうだ?とりあえずどんな職業でもさ、大学だけは入っといたほうが良いぞ?」

比呂哉は鼻息をスーッと吐くと、渋々プリントに「進学」と書いた。


帰り道、比呂哉は怪物を目撃する。奥まった工事現場のような場所。その日工事は休みだったようで人影はなかった。

「え?うわ、すげ、何の番組だろ?」

何かの番組だろうと、怪物に近づいた比呂哉の真横を怪物のビームが飛んだ。

「これ、マジ?」

比呂哉はすぐにその場から逃げようとしたが、ビームによって出来た瓦礫で逃げ道は無くなってしまっていた。追い詰められた比呂哉の前に、誰かが瓦礫を砕きバイクで現れた。それはメカニカルなスーツに包まれていた。


再び時間は現在に戻る。


青年は取り出したベルトを腰に巻き、スレートの前に立った。鼻で息を吐き、スーッと吸い込むと、こう叫んだ。

「変身!」

メカニカルなスーツに身を包んだ青年はスレートに立ち向かっていく。

ビームを避け、一気に距離感を詰めるとスレートの腹のような部分にパンチを食らわせる。

後ずさったスレートにすかさず再びパンチを2発。


青年が戦闘しているすぐそばの草むらにビームが流れてくる。草むらの中には逃げ遅れた犬が。その時、若い女性が犬を抱きかかえ走り、ビームから犬を守った。

「大丈夫?」


「これから、お前は資源になる!」

青年は間を空けずに肩にカカト落とし。

そのままスレートを踏み台のように高く跳び、ベルトのボタンを押すと、スーツが光りはじめた。

ベルトからアナウンス音声が流れる。

「フォースドリサイクル!」

青年は高く跳び、スレートにキックを食らわせた。瞬間、再びベルトからアナウンス音声が流れる。

「バイザキック!」

キックを受けたスレートは爆発し、そこには同じ大きさの岩が残った。青年がベルトのボタンを押すと、岩がベルトに吸い込まれた。青年はベルトを外すと、元の姿に戻った。青年の元に若い女性がやってくる。

「大丈夫だった?」と青年が女性に聞く。

「まあ、この子が危なかったぐらいかな。」

女性は抱いていた犬を逃した。

「状況終了。木沢、撤退します。」

「………」

いつもの応答がないことを不審に思いながら、青年、木沢比呂哉と女性、白井愛乃は所属してる組織の本部へと帰っていった。


本部近く、比呂哉と愛乃の前に男が飛び出してくる。

彼は比呂哉のとは別のベルトを取り出し、腰に巻くと、こう呟いた。

「変身」

すると彼は比呂哉のように特殊なスーツに身を包んだ。

しかし彼は立ち止まっている。

「君も変身しなよ。」

彼の言葉を受け、比呂哉はベルトを取り出した。




次回予告


ここは株式会社vivid、マテリドライバー開発行使部。9時出社5時退社。週休2日。ボーナスあり、ノルマなし。社食の人気メニューは塩サバ定食。


次回、第2話「なんだけどその時は気がつかない」

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