フェイル2 両親からの命令

 タクシーに乗り、ウェストミンスターにある総本部兼自宅付近で降り、歩きで向かった。彼女らの家は、かなり大きく、如何に栄華を極めたのが分かる大きい豪邸だと分かる。

 セレスとミクリオは、正面の門に立ち、門を開かせる。綺麗な庭を通り抜け、玄関に着き、家の中へと入る。メイド、使用人達は、頭を下げて礼をした。


「父上と母上は?」

「騎士団本部でお待ちです」


 セレスとミクリオは、家の中を進み、廊下の突き当りにある石像の頭を動かすと、その裏から、扉が開き地下へと通じる階段が現れる。

 ミクリオは、セレスをエスコートしながら降りていき、騎士団本部へと着く。

 その中は、無数のランタンの明かりが灯され、訓練所、食堂など様々な部屋があり、騎士団の紋章の旗が掲げられていた。

 奥へと進み、談話室に着くと、ソファーに近いところから、レベッカ、ライラ、シェリー。その後ろに、イクス、ルカ、シングが立っていた。

 そして、向かい合うソファーに座っているのは、顔を両手で覆って落ち込んでいる父と慰めている母が座っていた。


「姉さん来たわね」

「ええ」

「お父様、セレスお姉様とミクリオさんが来ました」

「そうか、ライラ。セレス座れ」


 セレスは、レベッカの隣に座り、ミクリオは、セレスの後ろに立った。


「父上、頼みたい事とは?」

「ああ、その前にバーク鉄鋼は分かるよな?」

「はい、我々の傘下の企業ですね。それが、何か?」

「昨日の昼頃、専務から連絡が来てな、本社の工場で、10人の死者が出たらしい」

「ええ!?」

「しし、死者が出たってどういう事よ?」


 セレス達は、驚いた。さらに、父は、話を進める。


「資材が落ちて、そこで加工作業していた彼らが下敷きになったらしい。原因は、不明で、調査中だ」

「でも、それを調査して然るべき処罰をなどすればいいんじゃない? わざわざ、私らに言わなくても」

「シェリー。私達には、問題がありますわ」

「ライラ姉ちゃん。別に……!」

「あたしらの機密文書が!」

「そうだ。表向きは、フェイルグループとは契約関係の企業となっているが、実際、その社長らの上層部は、我らフェイル薔薇騎士団の騎士達だ。マネーロンダリングやインサイダー取引などの裏の仕事をしている裏の書類などが保管されている」

「そうよね、今、警察らが正体の解明、壊滅しようと追跡しているわね。もし、バレたら」

「終わりかもな」

「あなた、気をしっかり持って」


 母が、慰めていると、ミクリオが今後の対応について尋ねる。


「旦那様、どうなさるのですか? 警察などが家宅捜索する前に何とかしないと」

「ライラの部下によれば、明日の朝5時に入るという情報があった。その間に裏の生類などを回収して、あるところに隠している。そこでだ、セレス」

「はい、父上」

「お前たちには、日本で住んでもらう」

「日本ですか?」

「実は、隠していたんだがな、妻らと相談して、日本の進出計画を考えていたんだ。日本は、世界から注目されている先進国だ。そこで莫大な利益を生む故に、証拠を隠すことが出来る」

「詳しく教えてくれますか?」


 父は、セレス達に内容を詳しく教えた。

 まず、明日の午前に父とセレスとミクリオが、記者会見に出席をして、記者の質問に答える。その後、セレスとミクリオは、イギリス国際空港のプライベート飛行場にレベッカ達と異動を命じられた社員……いや、騎士団員達と合流。

 その後、二つの空港を経由して日本の成田空港に到着して、日本にある千楽町にある100建ての高層ビル、トリニティタワーの50階から最上階までフェイルグループ日本本社兼フェイル薔薇騎士団第二総本部として住んで、会社経営と騎士団活動を行ってもらうという事だ。

 総本部のポストは、両親のサポートとしていたセレスらに代わり、両親の側近らが務める。


 なお、日本本社と第二総本部のポストについては、社長と騎士団団長は、セレス。専務と副団長は、レベッカ。常務と参謀は、ライラ。同じ常務と監督長官は、シェリーが務める。

 ミクリオ達については、それぞれの秘書と執事として活動してもらう。


「分かりました。父上」

「準備は、部下達が準備しておくから心配しなくて良い。今日は、一日ゆっくりしなさい」

「で? 父さん。その会社の騎士団員は、どうするの?」

「レベッカ様、旦那様が「心配しなくて良い」とおっしゃたじゃないですか」

「あんたは、黙ってなさい!」

「おーーい!?」


 イクスは、レベッカの膝蹴りにお見舞いされ、壁に激突した。


「イクス兄さん、ロケットみたいで綺麗に激突だね」

「ほほう! コメディアニメみたいだね!」

「ルカ、シング。よく楽観視出来るな。とにかく、レベッカ。彼らについては、しばらく、この場所で事務作業に勤務してもらう。表の処理は、上手くやるから安心しろ。とにかく、今日一日自宅で、ゆっくりしなさい。下がりなさい」

「失礼します。父上」


 セレス達は、礼をしてこの部屋を出ていく。イクスは、騎士団員2人に持ち上げられて、退出した。

 両親は、退出したのを確認すると、後ろから、水色のハーフアップと水色の瞳をした水色のスーツの美女が現れた。


「とんだ、災難だったな。お前」

「ああ、でも構わない。丁度、日本進出を考えていたんだ。問題ない」

「彼女らは、期待どうりの成果をだしてくれるさ。いや、それ以上かもな」

「それよりも、君。新しい職場は、どうかね?」

「おかげさまでな、他の5人達と子は、幸せそうに過ごしているよ。あの貴公子達がいなければ、私達と子は、この世にいない」

「君らのは、屍になっている。あとは、どう生きるのは、君ら次第だ」

「分かっているさ。それよりも、良いワインが手にいれたんだ。飲まないか?」

「喜んで」


 両親と美女は、ソファーに座り、ワインを飲みながら、会話を交わした。



 

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