問2-4 アニメ座席になりたい(結果)


 理想の、アニメ座席になる確率――。


 0.06 %


 沈黙。



 つまり、現実は厳しいということだ。おお神よ! なんと残酷な。いや違う、数学よ! なんと残酷な。僕たちの学校生活が、アニメの学園恋愛ラブコメのように、優しい世界に行けるんだ。というワクワクな高尚な希望が、ズルッと絶望に反転した。


 アニメ座席になる確率――。


 0.06 %


 この数字は、僕たちの理想が、首の皮一枚で繋がっているに等しい。文言どおり解釈すれば、頭部と胴体が首の皮一枚で繋がってると言う状態だ。すでに死体なのではないか?


 ――眼前には荒涼とした、冬の海が広がっていた。夜空を仰ぐと、冬の星座、オリオン座がまばゆく輝いていた。僕とオリオン座、ベテルギウスとの距離400光年。僕と彼女の心の距離と同じくらい、途方もなく離れている――。


「ほしのこえ」は聞こえてこない。「陰気 0.06 %」 という歌が生まれそうだ。

 

 断崖の絶壁に佇む僕は、冷たい追憶の風に晒されていた。僕がここから身を投げた場合の生存率、0.06 % 。

 冷酷な波が巨大な岩のような岩に衝突し、波しぶきは天に舞い上がり、泡沫となり夜空の星となった。





 とりあえず教室に帰ってこんかーい! 


「恋といふものは、いばらの道なのでしょう」


 しかし僕たちは諦めない。絶対に諦めてはいけない。厳しい試練を乗り越えた時、安穏な光が持っている。


 友よ、前へ進もう。光射す場所へ――。





つづく






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る