第19話 Independent

さて、僕は千葉のお店には日曜日に行くのがもっぱらだったが、FL を買ってからはクルマや他のバイクで行く事が多かった。なぜか?というとFLで行くと心身共に疲れてしまって、月曜日に仕事に行けなくなるからだ(笑)。


そんな、ある日僕が店を訪ねると、店長は不在でメカニックが一人で店番をしていた。


「沙魚人さん、俺、独立するんです。」


まあ、良くあることではある。ただメカニックは店長に雇用されている訳ではなく共同経営者という立場だった。


店長はハーレーショップという形態にこだわっていたが、メカニックとしては、Harleyにこだわらず、アメ車やTriumph も含めてカスタムをメインにした店にしたいと考えて、話し合いの結果、独立することになったとのこと。


別に喧嘩別れではないから、両方の店にこれまで通りしれっと行けば良い訳なんだが、ただでさえ遠い店を二軒掛け持ちする気にはなれなかった。そうなると信頼できるメカニックの新しくオープンする店の方に行くことになるのだが、事前に場所を知っておきたくてオープン前に一度連れて行ってもらった。


市原市の新店舗は大きな倉庫で、その片隅に事務所のプレハブが置いてあった。まだ商材はなく彼のChevrolet Nova やTriumph T100R がぽつんと置かれていた。


僕はここで悩むことになる。市原市というのは東京から見ると千葉市より更に遠方の上、店舗は更に高速のインターチェンジからも離れていた。


もう通い切れないな。


ここで、僕はもう一度店を変えることを決意した。

正直、僕はFLを持て余していたのである。


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