第61話 『黄泉の国』と言う名の不気味な名のゲーム……(4)

 トン! と台──。ダイニングテーブルの上から静かな音……。


 そう、何か、ではなくて?


 綺麗でしなやかな掌と細い指先とを使用しながら。漆色した汁椀を静かに置く音色が聞こえてくる。と、思えば。


「昨晩も出たみたいね。あの娘(こ)……」と。


 梁の美しく優しい声音も聞こえてきたのだ。


 それもさ? 誰かに問いかける声──。


 と、言うよりも?


 梁が漆色の汁椀を差し出し置くと。そのまま汁椀を使用している者の横……。




 そう、この家で只一人の男であり。女達の尽くすべき主ある。籍の真横の椅子へと、何も気にした素振り。自身と籍の前に座る拍に対して、何も気にもしない素振りでね。


 今の今迄、梁自身の目に留まる中で、若い二人が優しいキスを交わしていたにも関わらず。梁は全く気にもした様子もなく、若い二人の男女に問いかけるように言葉を漏らしながら椅子へと座り込むのだ。


 またそんな梁の様子に対して、籍自身も全く気にもしない様子で。


「そうみたい、だね~」


 と、声だけ漏らすと。


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