第6話:双子の受入の拒絶

あれから、カレンは遺体となったエルフの女性とその子供達を抱えて「死の森」を抜け出した。そして、ギルドの受付に事情を説明し、女性がエルフ族のみが住まうエルフの里出身だと分かり、カレンは女性を故郷の土へ還し、女性の子供達を預かってもらおうと思ったのだが……


「この子達を受入られないですって!!?どうして!!?」


エルフの里の長老の言葉に驚愕してそう叫ぶカレン。何故なら、長老は女性の子供達を里では預けられないと言ってきたからだ。


「それがその子らの為なのです」


「受入ないのがこの子達の為な訳ないでしょ!!?」


「アルフォーツ病はご存知か?」


長老の言葉に、まさかまたその病名を聞く事になるとは思わず押し黙るカレン。とりあえず、カレンは無言で首を縦に振った。


「彼女の親族は皆、そのアルフォーツ病によって亡くなっておるのです。両親に……愛する夫まで……」


それは、女性がそれらしい事を言っていたので、やっぱりそうだったのかと思うカレン。


「しかし、その中で彼女だけが病にかからず無事でした。故に、周りの者は彼女を「死神」などと呼んで避けておりました」


「そんな……!?酷い……!!?」


アルフォーツ病は別に感染病ではない。原因不明の不治の病だがそこだけは判明している。故に、周りが病になって、自分だけが病にかからない事もあるはずなのに……


「私や周りとて、アルフォーツ病が感染病でないのは十分に理解しております。しかし、彼女は……あまりに自分の愛する周りの者が病気にかかりすぎた……それ故に、そう言われてしまったのです……」


長老は俯き申し訳なさそうにそう言った。そんな表情をされたら、カレンは何も言えなくなってしまう。


カレンはまだ母親だけだから良かったのかもしれないと感じてしまった。彼女は両親に愛する夫、更には治ったとは腹を痛めて産んだ子まで……自分よりも多くの愛する人が亡くなったのを看取り、「死神」と蔑まれながら、愛する我が子を命がけで救ったのに、結果がコレだなんて……


「もしかして……彼女を夫と同じ墓に入れるのも……?」


無理なのだろうかと聞いたら、長老は首を横に振った。


「いいえ。それだけは……長老として何とかします。しかし、その子らは……」


「……虐めや迫害を受ける可能性が高いから無理と?」


「……お恥ずかしい話ですが……」


本当に心の底から申し訳なさそうな顔をする長老に、カレンはこれ以上の無理強いをする事が出来なかった。

結局、この日カレンは女性の遺体だけを長老に預け、カレンは双子の赤ん坊を連れてエルフの里を出たのだった……

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