第4話:命がけの調合

顔立ちがそっくりな事から、恐らくこの子達は双子なんだろう。娘と言っていたので、2人共女の子で彼女の子供なのだとカレンはそう判断した。


(けど……なんだか……苦しそう……?)


2人の顔色はあまりに悪く、苦しそうな表情を浮かべていた。


「今から……調合の魔法で……薬を……だから……それまで……私達を……」


傷を負いながらも懸命に起き上がり始めた。よく見れば、彼女の手には薬草らしきものが握られていた。恐らく、その薬草を使って今調合の魔法を使って薬を作ろうとしているのだろう。

エルフ族は、冒険者で魔法を扱う職業程の魔法は使えないが、簡易の魔法なら使える。その中でも、薬を作る「調合」魔法はエルフ族の者しか使えないと言われている。


「ダメよ!?すぐに治癒院へ行かないとあなたが……!?」


「いいの……!私の事は……!お願い……!娘達を……!」


必死の形相で訴える彼女。その彼女の鬼気迫る勢いに押され、カレンは思わず首を縦に振ってしまう。


こうして、彼女が「調合」魔法で薬を作っている間に、カレンはひたすら襲いかかってくる魔物達を撃退していった。彼女達に絶対に近づけさせないように……

そうして、数分の時が経ち……


「やった……!完成した……!これで……!この娘達を……!」


女性は完成した薬を子供達に上手く飲ませていく。薬を飲んだ子達は、あれだけ苦しそうにしていたのが、すぐに穏やかな表情になり、スヤスヤと寝息を立てはじめていた。


「あぁ……!?よかっ……た……」


「ッ!!?」


子供達の顔色が良くなったのを見届けた女性は、その場にグラリと倒れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る