マクアリアの門番
タカキとヤスユキは、' 時を司る者 ' が放った雷に打たれ白い蛇になってしまったうえとある時代に飛ばされていた。
そのとある時代というのは、彼らが元々いた西暦2119年より遥かに遠い未来であり、朝顔たちがいる時代より遥かに遠い過去である。
飛ばされた場所は砂漠であった。砂漠地方の太陽が容赦なく彼らを照りつけたが、幸いなことにマクアリアという町がそばにあった。
砂漠の町マクアリアは"古代コンクリート"で造られた壁で囲われている。門があり門には門番がいた。門番をしているのは犬顔の青年と2匹のスライムであった。
犬顔の青年は、クロウ・クーン・ジュノーという。スライムはユウシャとヨゲンシャという名前だ。クロウがつけた名前である。
タカキとヤスユキがこの場所に転送されたのは偶然か必然かと言ったら、おそらく偶然ではないだろう。
というのもこの場所は、後にアウグスたちスライムが"箱庭"と呼ぶ森となる場所だからである。
そして、クロウ・クーン・ジュノーは、朝顔たちの時代においてカモノハシが川底で見つけたオレンジ色の石、すなわち ' 太陽の石 ' のこの時代における正統な所有者なのだ。' 太陽の石 ' は本来、ジュノー王家に伝わる宝玉である。
クロウ・クーン・ジュノーはジュノー王家の末裔であり、<ジュノー王叙事詩〔アウネ写本〕>に描かれている二人の王のうちの一人である。
ただし<ジュノー王叙事詩>には王として描かれてはいるが、実際にはこの時代にはジュノー王国は滅びており、クロウは王ではなくただの門番である。
タカキとヤスユキは、クロウのそばまで来るとあまりの暑さのため失神してしまった。
クロウは白い蛇を見ると「むむむむむ」と唸り、2匹の蛇をガシッと掴んた。
兄・タカキのお腹の中には、なにか平たい長方形のものが入っている。おそらくスマートフォン型の〔タイムマシーン〕を飲み込んでしまったのだろう。
「蛇が失神しておるのだ。ユウシャ、ヨゲンシャ、ちょっと門の番をしていてくれ」
そう言うとクロウは町の中へ入って行った。
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