ナダの者

「あの ' ネコ ' の野郎!!」と口汚く罵りの言葉をはいたのは ' ネコ界 ' にいる ' 時を司る者 ' であった。' ネコ界 ' は神域である。' 時を司る者 ' は身の丈2メートル程もある長身の女神だ。


 いつもは温和な ' 時を司る者 ' が罵りの言葉をはいたので、側にいたカモノハシは驚いた。ちなみに ' ネコ界 ' にいるカモノハシは、朝顔達と一緒にいる野良のカモノハシと異なり上級カモノハシである。


「いかがかされましたか?」

「あの ' ネコ ' の野郎、子供たちと遊びに行ったまま帰ってこない!!」

 ' 時を司る者 ' は時の糸を紡ぐだけでも忙しいというのに、' ネコ ' 不在のため ' ネコ界 ' の管理までやらされているのである。


「あの子供たち......もしかして ' ナダの者 ' では......」

「もしかしても何も、あれは ' ナダの者 ' だ。何だってあの ' ネコ ' はそんな厄介な者と一緒にいるのだ!!」

 ' 時を司る者 ' の怒りは頂点に達しようとしていた。



***



 皆が寝静まった中カモノハシはサツマイモに聞いた。

「お前は自分の未来を知りたくないか? 知りたければ教えてやるぞ」

「未来か......別に知りたくねぇなぁ」サツマイモは興味なさそうに言った。


「知りたくないのか。じゃあ1つだけ教えてやる」

「だ、か、ら! 知りたくないって言ってるの!」

「お前、あの紅スライムと結婚するぞ」カモノハシはおかまいなしに言った。


「ええっっっっっ?!」


 サツマイモは、また頬を紫色に染め「おっおっおっっっっ」と変な声を出した。そして「そっ、そうなのか......」と言い横を向いて寝たふりをしてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る