ヨウジョ・ワールズエンド・ノヴァ・スーパーノヴァ

森野うぐいす

ヨウジョ・ワールズエンド・ノヴァ・スーパーノヴァ

第一章 サツマイモを届けよ

プロローグ

ぼくにとって父さんはこの世界のすべてだった...んだと思う。


父さんが死んだことに未だ実感は無いのだけれど。


ずいぶんと守られていたんだなと......今更になって思う。あれは家族三人の幸せな時間だったんだ。



父さんはスライムの中でも上級スライムだった。昔はドゴリコ王国の騎士団長お付きのスライムだったんだよ。


' ニンゲン ' はもうみんな死んじゃったけどね(たぶん)。


母さんはずるいスライムだよ。父さんが死ぬ直前にどこかへ行っちゃった。


途方に暮れちゃうよね。これからどうしよう。



それにしても、このはこにわもだいぶ "ヨウマ" が増えたな。"ヨウマ"と言っても最下級の"チミモウリョウ"どもなのだけど。


仲間のスライム達ももうこの森を捨てようと言っていた。


そうか、ぼくもどこかへ逃げなくちゃいけないな。"ヨウマ"と戦って勝てるスライムは父さんくらいだったもの。



そうだ、この森を抜けたところにある小屋まで行ってみよう。


あの小屋には ' 不思議な少女 ' がいる。おかしなことを言うからみんな怖がって近づかないけれど、魔法が使えるって噂なんだ。


魔法なら"ヨウマ"と戦えるよね(たぶん)。



そうして、スライムの少年は『森の向こうの小屋』へ行くことにした。


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