21話目、クリスタルゴーレム

 地下遺跡は全10階層のダンジョンだ。そして、地下10階にはボスがいる。それがクリスタルゴーレムだ。


 クリスタルゴーレムは体が透明度の高いクリスタルでできている。薄暗い場所では非常に見えにくく、ステータスが高い強力なボスだ。


 俺たちは地下10階層に降りた。そこには大きな部屋があり、部屋全体を青い光が照らしている。そして、部屋の中央に大きなクリスタルゴーレムがいた。


 まずは俺がゴーレムに切りかかる。一番戦闘が上手いのは俺だからだ。俺がゴーレムを引き付け、マールとサキさんが合間に攻撃する。この形が一番効率よく倒せる布陣だと思う。


 キンッ!


 攻撃が弾かれる。

 それにしても硬い。防御力が高いのは知っていたが、ステータスで防御力が高いと書いてあるだけのゲームと、実際に攻撃してみてわかる硬さは全然印象が違う。


 硬くて俺ではあまりダメージを与えられそうにないが、それでも攻撃を続ける。ゴーレムの攻撃を俺に集めるためだ。俺は簡単に攻撃を避けられるが、マールとサキさんでは俺ほど上手く避けるのは難しいだろう。


 俺が攻撃を引き付けている間に、マールが強力な雷魔法を放つ。雷が空気を引裂く音が鳴り、不規則な動きをしながらゴーレムを貫く。


 ……?


 なんともなさそうだな? ゴーレムはまるでダメージなどないかのように振舞う。ダメージは通ってるのか? ゲームならダメージ表示が出るから簡単にわかるんだけどな。雷魔法は弱点のはずなので、間違いなく効いてるはずなんだが分かりにくい。


 サキさんもゴーレムに殴りかかる。


「硬ったーい」

「本当に硬いな。ムラト、これ本当に倒せるのか?」

「ダメージは通ってるはずだから攻撃を続けろ!」


 その後も俺たちは攻撃を続けていく。すると、ただでさえ透明で見えにくかったゴーレムがどんどん薄くなり、さらに見えなくなっていく。きたか。


「えっ!?」

「なんだれこは!?」


 ゲームのボスというのはピンチになると姿が変わったり、攻撃が激しくなる。よくあることだ。このクリスタルゴーレムの場合はそれが完全な透明化ということだ。ここがらが本当の戦いである。


「……っ!」


 俺は突然右側から殴られ吹き飛ぶ。姿が見えていればモーションを見て攻撃を回避できるが、透明ではどうしようもない。一応音でどのあたりにいるのかは分かるが、攻撃はまるで見えない。避けるのは不可能に近い。


 離れて遠距離攻撃をすればいいと思うかもしれないが、クリスタルゴーレムにはクリスタルを飛ばす遠距離攻撃もある。


 とはいえ完全に透明になったということは、HPは5分の1を切っているはず。強引に押し切る。


「ムラト! どうすればいい!?」

「全力で攻撃してくれ! 向こうの攻撃は俺が何とかする!」


 俺は恐らくゴーレムがいるであろう場所に突っ込む。ここまで来たらスマートな勝ち方なんてない。力ずくだ。


 俺がゴーレムに近づくと再び殴り飛ばされる。


 俺はポケットから回復薬を取り出して使い、さらに雷切を使う。雷が迸り、それがゴーレムに当たるとわずかに発光し一瞬姿が見える。そこへサキさんが蹴りを入れ、さらにマールも強力な雷魔法で追い打ちする。


 すると、透明だったゴーレムが白く濁っていく。


 そして、最後は砕け散った。


「なんとか勝てたな」

「ああ」

「よかったね」


 俺たちがボスを倒したことに安堵していると、部屋の真ん中に宝箱が出現する。ダンジョンクリア報酬だ。


 宝箱を開けると、そこには空飛ぶ絨毯が入っていた。





 俺たちは地下遺跡をクリアした後、トルース村に戻って一休みした。そのあと今後どうするか考えたのだが、まずはマールに戦い方を教えようと思った。


 マールが戦い方を覚えれば魔王を倒すのはだいぶ楽になる。そこで、俺はマールと模擬戦をすることにした。


 木刀を構えてマールと向かい合う。木刀ならばお互いそれほど大きな怪我はしないはずだ。


 マールが切りかかってくる。俺は後ろに下がってかわし、マールの手を木刀で叩く。


「痛っ!」

「もう終わりか?」

「まだまだ!」


 マールは何度も切りかかってくるが、俺はすべて避ける。勇者の攻撃モーションなんて一番見た回数が多いからな、当たるわけもない。そして、俺の攻撃は面白いように当たる。


「くそ! なぜ当たらないんだ!?」

「マール、お前は俺の行動をまるで予測していないな?」

「予測?」

「ああ、俺がどんな攻撃をしようとしているのか、あるいはどう攻撃をよけようとしているのか。それを考えてないから攻撃が避けられず、攻撃を当てることもできないのだ」

「予測……なるほど、予測か」

「今日はここまでにしよう、とりあえず回復だ」


 俺は白い指輪をはめてマールに回復魔法を使う。魔力による快感にも慣れさせないといけないからな。


「少しは慣れたか?」

「はぅん、んぁ、はぁ、も、もちろんだ。ぜ、全然感じてなんか、あっ、あっ、な、ない」


 マールは髪を振り乱し、顔を赤くしながらなんとか答える。これはまだまだ先が長そうだな。


 それを少し離れていたところから見ていたサキさんが話しかけてくる


「ねえ、なんでマールちゃんはそうなっちゃうの?」

「ああ、なんでも魔力で感じる体質らしいんだ」

「ふうん、ねえ、その指輪私にも貸して」

「ん? はいどうぞ」


 俺はサキさんに指輪を渡す。


 サキさんは指輪を付けるとにやりと笑みを浮かべ、マールに後ろから抱きつく。


「サキさん……?」

「へっへっへ、えい」

「うんっ、はぁん、ああん、ちょ、ちょっとやめ、ぅん」


 サキさんはマールを後ろからまさぐりはじめた。太ももに指を這わせたり、胸を揉みまくりながら回復魔法を使う。


 ほとんど裸みたいなビキニアーマーという格好で、美女二人が絡み合う姿はあまりにもエロい。


「ほれほれ、感じないんでしょ?」

「ぅん、感じる、あっ、感じるから、や、やめて」

「感じるのはここかな? それともここかな?」

「あっ、そこダメ、そこもダメぇ、あっあっ、はぅぅぅん」


 俺はあまりにもエロい光景に立っていられなくなり、座り込み目を瞑り耳をふさぐのだった。


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