山中の集い  5

「ただいまー」


「おかえりー。心咲まだ帰ってきてないよー」


 俺がアパートに帰ると、柊里が昼飯を作って待ってい




 柊里はここ一週間でずいぶん馴染んだ。


 個人的には手料理が食えるようになったのが嬉しい。


 心咲の家や、うん、まぁ実家で食べれないこともないんだけど、今までアパートで食うのはカップ麺やコンビニ弁当ぐらいだったので、これまでに比べたら健康的になれた気がする。


『ニー』


「ナオー!」


 あと、ナオとアパートで会えるようになった。柊里がアパートでやることが無いので面倒を見てもらうことにしたのだ。


 美里さんは「ぜんぜんいいよー」とか言ってくれたけど、拾ってきたのが俺なのでぶっちゃけ心苦しいところがあったがこれで解決だ。


 足元にピョコピョコ走って擦り寄ってきたナオを、抱き上げて頬ずりする。


「さーて、お昼ご飯はー?お、ソーメン!手料理だー!」


「まだ時期的にちょっと早いけどねー。てゆうか、ソーメンはカップ麺作る労力あったらできると思うけど…」


「へー。…茹でないの?」


 水の満たした鍋とソーメンの束が準備されているが、柊里はまだ茹でる気配がない。


「心咲が帰ってくるまで待つの。麺伸びちゃうし、先食べてたら可愛そうでしょ」


 柊里は皆で食事をする事にこだわる。1人で生活していたから、誰かと食べるのが嬉しいのかもしれない。


 ちょうど玄関のドアが開く音がした。


「ただいま。ヘルプ」


「?」


 心咲が帰ってきたようだ。しかしどうしたのだろう。


 廊下を覗くとその先の玄関には、真っ白と真っ黒な2人の大鷲の獣人を、両脇に抱えた心咲が立っていた。


「拾った」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る