恋じゃない。『入れ物』に惑わされない、愛の物語

出だしは、普通のラブコメ物のような乗りで読み進めさせて頂いていたんですが、彼女が難病を患うようになった辺りから空気が一変しました。

嵐やAKBなど、それまで出てきたさまざまな〝ルックス〟に関するネタは、この後の展開への前フリだったんですね。

早苗が障害者となっても、早苗への愛を貫く修司。
そう、恋じゃなく愛ですよね。
修司の理屈は分かりますが、分かっていても修司のように行動できる人は稀でしょう。
長年連れ添った夫婦などであればまだしも、大学の同級生というだけの関係ではなおさら……。

こういう物語を拝読したからといって、私も今後は修司と同じような行動がとれる自信は、やっぱりありません。

だけど、修司の出した答えが人としてとても尊いものであることは分かりますし、そうありたいとも思います。
素直に、心が洗われるような物語でした。

修司と早苗の未来が、どうか明るいものでありますように。