第10話 必要なのは『勝利』と『賞賛』のみ

「畜生っ!覚えてやがれこのクソオヤジ!」



 捨て台詞を残しながらチンピラ達が走り去って行く。

 傷一つ無いだけあって足取りは確かだ。

 走り方若いなー。



「ざっとこんなもんだ。

 怪我はないかムゥ。もう大丈夫だ」


「今酷い戦い方を見ました」



 ぬっ。

 これでも最善を尽くしたんだぞ。



 俺のレベルは20。

 彼らは13から15ってとこだろう。


 全員が前衛職だったから、後衛職の俺ではタイマンでもかなり分が悪い。



 そこで俺特製の必殺戦術だ。

 名付けて”活人拳”。


 心の中だけでそう呼んでるこの技は、両拳に治癒魔術を込めて殴るので、相手は攻撃を食らうそばから傷が回復する。


 そして俺自身にも断続的に治癒魔術をかけ続けているので、俺も殴られる度回復する。

 すると完全に泥試合の完成だ。



 殴られた瞬間は痛いけどダメージは残らない。

 殴っても殴っても目の前の中年は回復し続けへこたれない。


 あとは殴られる痛みと戦いの不毛さに相手が根を上げるまで頑張るだけだ。

 殴って殴られて殴られて殴られて殴って殴られて殴られて殴られて。



 殴られた数は圧倒的に俺が上だが根負けしたのはあいつらだ。

 所要時間は30分ってとこか。


 フッ、根性のない奴らだぜ。

 心の粘っこさではおっさんは誰にも負けない。



「泥臭すぎます。

 痛々し過ぎます。

 もっと爽快感のある倒し方はないのですか。

 これでは日間民が自己投影できません」


「んなこと言ってもなあ。

 俺は治癒士だから攻撃手段がないからなあ」


「普通にゴブリンを召喚されればよいではありませんか」


「それじゃ殺し合いになるだろ。

 こっちにその気が無くとも、向こうもゴブリン相手なら容赦なく刃物を出すだろうし」



 それでゴブリンを斬ったら、勢い余って俺にも斬りかかって来かねない。

 殺されちゃったら治癒もできないからね。


 まあ、俺が活人拳で戦う理由は他にもある。

 でもこれは他人には言いたくないな。



「もっとこう、日間映えのする必殺技が欲しいところですね。

 できれば”治癒士ならでは感”のある」


「日間映えって」


 インスタ映えみたいに言うなよ。

 いやこの世界にインスタグラムなど存在しない。



「相手の悪性腫瘍を活性化させて末期癌にしたり。

 脳内血管の血小板を活性化させて脳梗塞を起こしたり」


「それ完全に相手を殺しにかかってるよね?」



 どうしてこいつはこう殺る気満々なんだ。



 末期癌パンチ:相手は死ぬ

 脳梗塞パンチ:相手は死ぬ



 血生臭すぎるわ。

 ポリス不可避。

 チンピラ連中の方がよっぽど自重してる。


 日間民とやらはそんなのが見たいのか?



「そもそも疑問なのですが、ご主人様のレベル20というのは低過ぎるのではないでしょうか。

 これは冒険者としては精々中の上程度と聞いています。

 曲がりなりにも勇者パーティで活動していたことを考慮すると、いささか物足りないと申しますか」


「お、それ聞いちゃう?聞いちゃっちゃう?」



 ウキウキした気分で俺は自分の境遇を語り出す。

 おっさんは誰も聞いてないのに自分の半生を語るのが大好きだからね。仕方ないね。


 よーしパパ自分の過去語っちゃうぞー。

 隙あらば自分語りの精神。隙を見せた方が悪い。



「そもそも魔物からの経験値ってのはパーティ内で分割されるんだけど、その割合は与えたダメージを基準に計算されるんだ。だから元々治癒士の俺には経験値が入りづらいってわけ。一応、パーティ内設定で誰かに経験値寄せるとかもできるんだけど、勇者達は俺に経験値寄せてくれなかったんだよ。

 むしろ初期の頃は俺の方がレベル高かったからさ、パワーレベリングの要領であいつらに経験値寄せる設定にしてたかんな。レベルが追いついたあたりで、そろそろ設定をデフォにしようかって言ったんだけど、「えっなんで ?」とか言ってくんだぜ?真顔で。3人がかりで。もうそれ以上言えないじゃん。

 一応召喚した魔物が与えたダメージは俺が与えたことになるからさ、少しは稼げてたんだけど、戦いがインフレするにつれてゴブリンじゃロクなダメ ージ与えられなくなってさ。

 味方を回復しても経験値稼げるんだけど、あいつらどんどん強くなるから ほとんどダメージ食らわないし、アレストの”光の加護”で自動回復するし。俺もパーティにあえてリスク負わせたくないから文句は言わなかったけどさ。後半ほとんど支援魔術専門になって、でも支援魔術ってほんと貰える経験値少なくてさ」


「長い長い長い長い!」



 苛立ちを露わにしてムゥが叫び出す。

 ええ、そっちから聞いてきたんじゃん。



「長過ぎますよ説明が。

 誰が読むんですかこんなもん。

 ただでさえ横書き文書は読み辛いんです。

 読者が我慢してくれるのは3秒までと肝に命じて下さい」


「お前は一体誰に向かって何を言っているんだ」


「日間民はストレスを我慢できないわけじゃないんです。

 我慢する理由がないんです。

 こんな海の物とも山の物ともつかない作品に我慢してまで付き合ってくれるはずがないではありませんか」


「だからお前の言ってることはサッパリわからん!」



「自分が冷遇されてる理由なんて”社会がクソだから”で十分なんですよ。

 日間民もみんなそう思って日々を過ごしてますよ」


「いくらなんでも日間民ってののこと馬鹿にし過ぎじゃねえか?」



 だから誰なんだよその日間民ってのは。



「ああ驚いた。まだあんな長文を書くだなんて。

 あんまり長過ぎてSAKATA作品かと思いましたよ」


「他作品を名指しで批判するんじゃねえ!」


 炎上しちゃう!

 なによりお相手に失礼だよ!

 他人様を批判できるほどの作者じゃありませんしね!

 誰なんだよ俺は。



「グダグダダラダラした『説明』や、ウジウジモジモジした『葛藤』なんて 心底ノーセンキューなんですよ。

 必要なのは『勝利』と『賞賛』のみ。


 我々読むストロングゼロがストレスを撒き散らかしたら一体誰が日間民のささくれた心を癒すというのですか!?」


「本当にその辺にしておいた方がいいんじゃないのか!?」



「そうした軽すぎる作風に批判が寄せられることもわかっています。

 でも読者の皆さんも悪いんですよ。美味しんぼの中国人の顔でそんなことを言う私をお許しください。


 しかし、皆さん。

 星、入れてますか?最後に星を入れたのはいつですか?なろうならば評価ポイントです。

 書き手は感想か星かフォローのみを基準に作品の手ごたえを判断するしかないんです。

 いいじゃないですか、減るもんじゃなし。星なら最新話のすぐ下から簡単に入れられますよ。

 アカウントがない?作品を楽しんだことに感謝があるなら捨てアドでもいいから垢作成くらいしてくれてもいいでしょう。

 金がかかるわけでもあるまいし」


「おいやめろ。気軽に第四の壁を越えるんじゃない」



 俺そういうの見るとなんかゾワっとするんだよ!



「↓↓↓↓↓すぐ下から星を入れられます!その1票が信じられない程作者の支えになるんです!↓↓↓↓↓↓」


「いやそれどうやって発音してんの!?」



「このエピソードが最新話でない場合でも、作品情報画面の下部から簡単に星を入れられます。

 この画面右上の作品名をクリックすればその画面に行けます。

 スマホなら右上の『三』みたいなマークを押せば表示されますよ」


「いい加減にしろ!」



 世界観どうなってんだよ!

 てか今回も全然話が進まなかったよ!

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