1.1 日本語に主語はない(1)

 日本語に主語はない。「そんなバカな!」と思うかもしれない。文は主語+述語で出来ており、主語こそ文字通り「文」の主であり、文を司る中心ではないか・・・と考えるのなら、たぶんそれは学校教育で詰め込まれた英語文法の影響だろうと思う。

 「いや、国語の文法でも習った」と言うかもしれない。日本の学校教育ではまともな日本語の文法教育など行われていないし、そもそも国文法(口語文法)自体が、明治以降に海外の文法論を参考にして作られたものから始まっており、かなり問題があるのだ・・・ということはさておき、実際に例文を見てみよう。

 以下の文には主語があるか? 省略されているなら、それをおぎなって、主語がどれかを答えなさい。


 人生楽ありゃ苦もあるさ

 涙の後には虹も出る

 歩いてゆくんだ

 しっかりと

 自分の道をふみしめて


 人生勇気が必要だ

 くじけりゃ誰かが先に行く

 あとから来たのに

 追い越され

 泣くのがいやならさあ歩け


 「ああ人生に涙あり」(「水戸黄門」主題歌:山上路夫作詞)より

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