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 あいつとは高校3年間、同じクラスだった。


 あいつと私の道が深く交差したのは、席が隣になった時。それからよく話すようになった。仲の良い女子の友達といるのも楽しいんだけど、あいつはなんか特別だった。女子とは違う思考、感覚、捉え方。真面目な話を語ったり、下ネタからバカ話まで、何でも話していた。新鮮とかじゃない、あいつと話をするのが楽しかった。


 同じクラス、この時代。なのに時々、文通もしていた。あいつの字は達筆で、いつもアジアンチックな便箋。その手紙を見るだけで落ち着いた。


 色んな話をするのも、できるのも、文通だって、あいつだったから。あいつだけだった。何でも話せる、特別な大切な存在だった。

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