みんな勇者になりたいか!

空のかけら

第1話 交通事故が増えています。

…次のニュースです。


今日、午前8時半頃、○○中学校に隣接する県道で、走ってきた乗用車に向かって飛び込んだ男子中学生が跳ねられた事故がおきました。


事故を目撃した人によると、その男子生徒は“勇者になる”と、意味不明な言葉を発しながら、自ら車列に飛び出した模様です。


教育関係者は、最近のライトノベルブームによる悪影響だと話しており、なんらかの規制が必要ではないかとしています。


…次のニュースです。



「んで、何しに来たんだ?」


そう、テレビ?を見ていた真っ白いローブのような物を来た人は、こっちを見ずに聞いてきた。


「ですから、交通事故で死んで、異世界に転移する前に、勇者で、凄いスキルで、最強なものをください。いいや、くれるのが当たり前の…」


僕は、さっきのテレビでやっていた男子中学生。

交通事故に遭うと、他世界に転生できると信じている。

そして、最強の存在になって、異世界で勇者になれるとも、信じている。


「君さぁ。勝手に死んで、勝手に勇者って決めつけて、最強の能力を欲して、こちらもヒマじゃないんだけど」


呆れたような声が来た。


でも、お約束のはずだから、言い返す。


「決まっていることだから、それをするのは当たり前だから、色々選びたい」


この場所は、周囲が真っ白な場所ではない。

無数のモニターが周囲を囲み、中心には円柱がある。


円柱には、光が高速で上下に流れていて、見ているだけでも飽きないと思うが、今はスキルなどを選びたい。

見るのは、後で。


「はぁ、それじゃあ、この2枚から選んで」


「2枚じゃ選べない。最強になるためには、もっと必要なはず」


たった2枚の選択肢だから、もっと隠しているはず。

そっちも見たいと思った。


しかし…


「はい、選択拒否。転生なんて逃げることは許さない。しばらく、下界で反省しろ。ここまで上がることができたら、転生を許してやる」


その言葉と共に、暗転。

どことも知れない世界へ落ちていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る