「凡人」だからこその面白さ、「凡人」だからこそ伝わる心境

この物語は主人公の「井納」という人物視点の物語です。
異世界へのTS転生、そして課せられた世界の「破滅」を防ぐという些か壮大すぎるミッション。チートなんて言う都合のいいものはなく、あるのは転生先の貴族としての立場と3回の挑戦権。

戦記もの、ループものとして、飽きがこないストーリーももちろん素晴らしいのですが、私が特に素晴らしいと思ったのは主人公の心境です。
変に神視点(客観視点)を入れず、常に主人公視点で描かれた物語となっています。そのため井納としての心境の変化を細々と追うことができます。主人公が凡人であるからこそ、周りに頼ることへの漠然とした不安感や無力感といった感情。そしてTS要素から来る本来の性別との乖離。主人公の精神が辛いことも、画面越しであるにも関わらずダイレクトに伝わってきます。

最高の作品をどうもありがとうございます。とりあえず読んでみましょう、きっと良さがわかるはずです。