【習作】中村尚裕の #アクション小説の極限に挑め (C)Copyrights 2019 中村尚裕 All Rights Reserved.

中村尚裕

01.ガン=カタ編

【まえがき】

小説で超絶アクションをどこまで表現できるか、私なりの回答をここに。

今回のお題はガン=カタ、よろしくお付き合いのほどを。




【本文】


回廊入り口から床上、滑り込ませて黒い影――それが二つ。

手入れの行き届いた白い床上、回廊を滑るそれが目を奪う。

両脇には居並ぶ衛兵。その視覚をかすめて奥、大扉の前に控える二人の寸前で――止まった。


本能につられた意識が集まる。視線を束ねる、見出すその、正体――弾倉。

我に返った。衛兵が眼を上げる。回廊の入り口に――白の男。

弾かれたように衛兵。反射で突撃銃を三点連射。


地を蹴る。白の男が宙を跳ぶ。舞踊さながらに宙でスピン、出迎えた銃弾を飛び越えつつ――両手に機関拳銃。

着地。照星を流し――正面。二人。

三点連射。それも二連。大扉を護る衛兵が吹き飛んだ。


空気が凍る――半瞬を経て、衛兵の群れが我に返る。そこへ――。


白の男が佇立――から一歩。両手ともに三点連射の一撃。真横。衛兵を撃ち倒す。

一歩――踏み込む。頭上に弾丸、くぐって斜め前、構えの早い二人へ一撃。

倒れる敵を尻目に次の一歩――両真横へ一撃。

相手が地へ伏すのを見届ける前になお一歩――両斜め前へ横撃ちで一撃。

さらに一歩――跳ねる銃身もそのまま、両腕を交差させて一撃。

一歩――一撃。一歩――一撃。弾丸切れ。敵に色。

歩みはそのまま、指先一つで弾倉を排する。手首の動き一つで袖から仕込み弾倉、装填――からの流れで間近の敵へ一撃。


増援。背後。振り返りざまに両手から一撃。その流れで横手へ一撃。さらに振り返って正面へ、なお振り向いて横手へ一撃。

さらに横から増援――を位置に付かせず一撃。


――そこへ。

狙点の気配。それも両脇。合わせて四人、間に合わない。

地を蹴る。大きく宙にトンボを切る。その下、空を抉って銃弾が四連。宙で照準、両手から一撃。着地と共にもう一撃。


尽きた。弾丸。正面――床に弾倉。弾倉を捨てつつ一挙動――装填。下から突き上げて一撃。


増援。続く。右へ一撃、巡る勢いで左後方へ一撃。次に構えの早い右後方へ、さらに動きの遅い左へ。


柱の陰から銃口――左右に合わせて気配が四つ。

早いのは右後方――振り返りざまに一撃。次いで殺気も隠さず現れた左前方へ横撃ちで一撃。そのまま回転を利して左後方を仕留め、なお勢いで右前方へ一撃――弾切れ。


増援。まだ来る。だが武器は足元に山と転がっている。

白の男は立ち上がりざまに足元、敵の突撃銃を蹴り上げた。機関拳銃を棄てたその手へ突撃銃。


白の男に――不敵な笑み。

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