　サボリン、素敵な怪談を聴かせてくれてありがとう。

　そのアパート自体に問題はなくても、窓の方角が霊の通り道になっちゃってるなんて、恐ろしいね。

　しかも、魔除けに買ったサボテンまで壊されちゃったなんて、災難以外の何物でもない。

　引っ越し先や大学で、サボリンが平穏に暮らせることを祈ってるよ。

　やっぱりあれかな、建物自体がいわくつきじゃなくても、風水的な意味で霊が集まりやすくなっちゃうこともあるのかな？

　たとえば、とある電車の路線では、自殺者による人身事故が毎年やたら多いんだけどね。とある駅から何駅か先までの線路が、ずっとまっすぐに延びてるんだ。それがあの辺りの土地の『龍脈（リュウミャク）』に逆らってるせいなんだ、って話も聞いたことがあるよ。

　新居を建てたり家を買ったり、引っ越したりするときは、そういうことも念頭に置いて調べてみたほうがいいかもしれないね。

　ぼくも今の家には長く住んでるけど、愛着もあるし、引っ越しはあんまりしたくないな。

　さて、さっきのラヂヲネーム『吉文（ヨシフミ）』さんが、またメールを一通くれたんだけどさ。

　今度は、文章の一部分にだけ、かろうじて読める字がまざってるね。

　ちょっとその箇所だけ拾って読み上げてみよう。　

【も　俺　か　い　長　け　聴　後　れ　な　て　く】

　うーん……やっぱり暗号文なのかな？　このメールの文章量は、そんなに多くはないんだけど。

　ちゃんと読めなくてごめんね、吉文さん。

　もしかしたら、また時間をおいて送ってくれたら、文章が少しずつ読めるようになるのかもしれない。

　なんか、炙（あぶ）り出し文字みたいで楽しくなってきたよ。

　吉文さん、めげずに送ってみてね。

　さて、八通目からは不思議なつながりが感じられる怪談を読んでいくよ。

　ラヂヲネーム『夕霞（セッカ）』さん、『ココン』さんからのお便り。

　二通分続けて聴いてね。

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