未来をつなぐもの

クースケ

第1話初めの一歩

今何時だろう?

僕はウトウトしながら時計を見た。

「まだ10時か、」

安心したのか、再び

眠気に負け意識が遠ざかっていった。


しばらくたち

意識だけが先に蘇った。(何時間ぐらいたったんだろう?)

カーテンから漏れた光が、

閉じた目の奥まで届くのを感じ

「うわ、やべー遅刻じゃん」第一声がこれだった。

毛布を投げ捨て、

手元にある置き時計を見た。

「なんだぁ~、まだ11時じゃん、無駄に焦った」

いつもと同じように布団をかたずけ


いつもの感覚で階段を下りていく


「うっ、」(なんだこれ、)

階段を降りようと一歩足を踏み出した瞬間

身体に激痛が走った。


これはいつもと違った。


思い当たる節が一つあった。

昨日のランニングだ。

(普通の人じゃそこまでになることはないに等しいぐらいだと思う。

だが、普段動いてない僕にとっては違った。)



まだ本調子ではない身体を、むりやり動かし、

全体重を前に前にと激痛に耐えながら進むことを第一に考え、

壁を這いながら洗面所へ向かった。



(ハァ、)昔はこんなんじゃなかったのにな

日頃動いてない自分にため息と後悔が出た

あと、眠い  

(なんでだろうと考えた時に一つの結論にたどり着いた。

昨日 ゲームのイベント最終日で

ほとんど寝てないという結論だ)


と考えながら上の空で

とぼとぼ歩く

洗面所につくと、

自分の体調が悪そうな

顔が鏡の中に映る

「うっっわ、これ 俺???ほんと体調悪そう」

ジーっと鏡をのぞいて自分を見た

「うわ、しかも くま出来てるじゃん 最悪」

自分の部屋が視覚に入る

「汚い...」

洗濯物、かごにまとめてあるが

貯めてしまい、あふれて周辺に散らばっている。 

落ちた衣服が異臭を放っていて、正直近づきたくない。

僕の部屋はそんなものばかりだ。


その中で断トツでひどいものがある ソイツは

部屋に入る前の廊下にいる。

そしてただならぬ異臭を放って堂々と存在している。

器の中にかび?みたいなものを浮かべて 

(それ以上は思い出したくない、思い出しただけで吐き気がしてくるからだ。)

ソイツの正体は1か月前に食べたラーメンの残りの汁だ。正直直視できない。


この間、母さんがこっそり、部屋に入って掃除をしようとしたのに怒って暴れた。と、言っても、頭の中で、これは割ってはいけないもの。これは、まあ壊れてもいいかと選別していた。どこまで、いい子なんだ。俺は。

でもその時初めて、親に手をかけた。誰も、悪くはないのに。母さんは、どついた弾みで本棚に、上半身と頭を思いきり打ちつけた。痛そうに、うずくまって何も言わずに部屋を出て行った。それから、仕事前に朝と仕事終わって帰ってからの夜の食事は、廊下に置かれてる。

今日のめしは、目玉焼きとウインナー、ごはんふりかけ。完全に、冷めている。味はあるが、美味しくもまずくもない。

時間を忘れて 料理を食べていた。

時計をチラッ見た。

「もう、14時か。早いな いつもなら寝てる時間 」

時計を見て突然笑いが込み上げてきた、

それもそのはず

僕はいつも好きな時に寝て、起きる、

という乱れた生活を送っていた

なので僕にとっては、この時間に食べるということは

珍しいことである。

(さて、めしもくったし、天気もいいから散歩でもするか。。)


身支度を整え、

徒歩圏内にある公園へと、

向かった。

「ワーワー」「キャッキャッ」

という楽しそうな声が聞こえてくる。

その公園の特徴は、いつもにぎわっている。

どこにでもある普通の公園なのにだ。

(えっ?何で賑わうのかって?)

それは遊具にしても池にしても

(全ての規模が大きいからである。)

休みの日は、駐車場は満員になるほどだ。


とりあえず疲れたから、

ブルーのペンキが剥がれ錆びついた焦げ茶色

が顔を出した、いかにも年代物のベンチに腰を掛けた。

座った瞬間

「ギ~」という音がした。

「大丈夫かな?これ」少しおどおどしながら深く腰掛ける。

しばらくしたら大丈夫と安心し、

過去の思い出に拍車がかかった。


「はぁ~、そういえばここ 懐かしいな、

小さい頃は、母さんとよく来たっけ それにしても…」

ここ、全然変わってないな。」

(昔弁当と水筒をもって一人でも良く行ったっけ。

しかも、学校の遠足もいつもここだったもんな。)

木々をとってみても、あれから何年も経っているのに荒れている

様子も見えないのは

きっと、管理の人のおかげだな、


きめ細かい管理のおかげで

こんなにも過ごしやすい公園環境になっているんだな。

仕事でもすごいと感じた、


「でも、こういっちゃなんだけど、

昔よりは朽ちている気がしないでもない。」


ふと、池にいる おじさんに目が留まった。

なんでだろう、別に気に留めることはしてないのに

それにしても何をしてるんだ?遠くてよく認識できない。

目を細めてみる。

竿?で何かを池に投げた。 

もしかして釣り?

つりを、はじめるんだろうか。

気になってちかずいた。

でも声をかける勇気がないしと

おどおどしていると

気が付いたら足早に 傍を通り過ぎていた、

「ふー、なんだったんだろうか?無駄にキンチョーした。」

とひと段落したら、

「兄ちゃん、暇だったら 手伝ってくれない?」

という声がきゅうに飛び込んできた。

よく、見ると60代前半ぐらいの人で、定年で暇をもてあましているんだろう。「ぼく、忙しいから」知らないひとに、ついていかないじゃないけど、面倒だよね。足早に通りすぎようとすると、人懐っこい顔で何やら箱みたいなものを手渡す。はずみで受け取るが、身体が不意に傾くくらい、少し重い「あの、ぼく急いでるんです。つりは、興味ないし。」

「いいから、いいから、5分もかからないし」その顔、なぜか懐かしい気がする。知り合いか?でも、とうのおじさんは、知らない様子だし。

「池に向けて、そのボタンを押してみろ」面倒だから、言うとおりにしてみる。その瞬間、何かの小さな固まりが、なん十個もいっせいに池の水にカーブを描いて落ちていく。「な、なに」よきせぬことで、ふらつく暇もなく、池上で無数の魚が飛んできた固まりに向かって泳いでくる。中には、もう食べているものもいる。一気にエサやりき?

そのおじさんは、自称発明家らしい。おれは、逃げ損ねてその発明品の苦労ばなしをながながと、聞かされた。

なんか、へんなじいさんだったな、家に帰って思い出す。

そういえば、昔夏休みの自由研究で肩たたきを作ったことが、あったな。

長い棒の先にゴムボールがついていて,そのボールが弾むのはいいが顔や、頭にバウンドしてなかなか、止まらない。母さんは、顔や頭の刺激にもなっていいわねと、しばらく使ってくれていた。その、笑顔がよみがえる。


久しぶりに、部屋を片付けはじめた。この異臭は、たまらん。

風呂場で、雑巾をしぼっていると母さんが、帰ってきた。「あら、なんだか久しぶりね。掃除するの?」何を言っていいのか、わからないから、無視して部屋に逃げ込む。(おれは、何やってるんだ。)窓を開け、空気を入れ込む。人間って、つくづく不便だな。嫌なことから、逃げたはずなのに。また、こんな所で逃げている?大げさだけど。


あれから、気が向いた時に公園にいくとあの、じいさんにあっている。そのたびに、発明品をみせて、苦労ばなしをしてくれる。なんだか、おれもものづくりをしていたからか、なぜか親しみを感じる。不思議だな、それだけじゃない。

不意に「学生だろう?学校は?」と、聞かれる。今まで、名前やどうしてこの時間にいるのかとか、普通の大人みたいに聞かれたことがない。だから、きっと何回か会う気になったんだろう。(やっぱり、説教か)

「もし、さぼっているなら、勉強教えようか?」(えっ、すっとばしてそうくる?)「あんた、先生だったのか?」

いや、そうじゃないけど。と頭をかきながら。

(おれの、学校自慢だけど。県内で1番の有名な中学の進学校だぜ。まあ、脱落した俺が言っても説得力無いけどな。)

「あんた、どこの大学出たの?」

「大学は、出てない」「えっ、じゃあ、高校は?」

「出てない」

「中学は?」

「出てない」

もう、聞く気が失せた。

つまり家庭の事情とかで学校いけなくて、苦労して働いて人生を渡ってきたと言いたいんだろう。独学で、大学程度の教育を受けたとか。

暇だし、きっとおじさんの方がすぐ根をあげるだろうから、受けることにした。

続く









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