美しさ、愛おしさは時としてインモラル。これは本質に迫る文学

 美しく産まれついた双子の兄妹は、イザナミとイザナギよろしくお互いを伴侶として愛し合い、妹は命を落とす……。あまりに美しい主人公、優は、鏡の中の妹の面影に執着しながら、茨の道のような思春期を過ごします。

 キャッチコピーに『とある少年の、狂った愛の物語』とあるように、近親相姦に教員と生徒の恋愛、何より思春期になりたての子どもに向けられる性的な視線、インモラルな描写に溢れています。しかし本作はその、時としてインモラルな人間の愛や美しさに真摯に向き合い、生々しく美しい文章で描写することによって、愛や美の本質に肉迫する意欲作です。

 誰もがキモチヨク読める作品ではありません。得てして文学とはそういうものです。もし貴方がそういう文学を求めているのならば、ぜひ読んでください。