それぞれの恋が始まる僕たち

慶田陽山

井川 徹

俺は井川徹、14歳、中学2年。趣味、読書。部活動は帰宅部。俺は何かしたいこともなく、ただ普通に生きている。暇とは思ったことはない。俺には2人の友人がいて一人は

「徹、おは~。なぁ、今日の英語課題を見せてくれ。頼む」

と手を合わせ頭を下げているのが、神谷宗助。俺と同じ帰宅部だ。趣味はスポーツ全般。球技系なら何でもできるやつだ。これが一人目の友人。

「おはよう~。今日もいい天気だな」

と声をかけてきたのが、木宮栄一。趣味はゲームを作ること。ゲームプログラマーを目指しているそうだ。もちろん帰宅部だ。性格は優しくて、大人っぽくて、頼りになる友人だ。俺はいつもこの二人と過ごしているが厄介者が一人、俺だけが納得いかないやつがいる。それが、さっきから俺たちの後ろで何か企んでいる彼女、渡辺美羽。

「わぁ! 驚いた?」

誰がこんな事で驚くかよ。俺はそうつぶやきたくなった。でも、やめた。

「おはよう、渡辺さん。今日も元気だね」

大人っぽく対応する栄一。

「俺はスポーツあってるから常に周りを見るようにしてるから、気づいてたぜ」

と笑いながら、微妙に自慢する宗助。

彼らの対応は素晴らしいと俺は思う。でも俺は

「そんなんで驚くのがおかしい。あと、バレバレだ。それに、それ以上近づくな」

と俺は彼女に言った。これがいつもの俺が彼女に対する対応だ。彼らより冷たく対応するのには理由はある。理由はいたって簡単。俺は女子が嫌いだ。関わりたくない生物1位が人間の女というぐらい嫌いだ。

「まぁまぁ、徹。その辺にしといてあげな。渡辺さんも徹にはあまり近づかないように」

栄一のおかげで彼女は文句を言いながら先に教室に行こうとしたとき

「井川君は、誰と恋をする気なの」

腹立たしかった。殴ってやりたかったが我慢した。俺が女子と関わらない理由はある。彼女が原因ではない。俺が女子が嫌いなのは、小学2年くらいに女子からいじめを受けていた。その事から俺は女子が嫌いになった。彼女は走って、教室に行った。

「徹、もっとましな言い方なかったか? 女子が嫌いなのはわかっているがもうちょっと優しい言い方あったと思うけどな」

女子にも優しい栄一。

「別にいいんだよ。好かれたいわけでもないのに、優しく言う必要がない」

俺は少し怒りながら言った。でも、さすがにひどいとは周りの奴は思うだろう。なぜなら、彼女は俺の幼馴染だからだ。もちろん幼馴染とか関係なく俺は女子が嫌い。

「それより、宗助、英語の課題写すんじゃなかったの」

俺は話をそらした。俺は面倒なことから逃げた。いつものことだ。俺はすぐに逃げる癖がある。でも、治す気はない。でも、彼女は俺より好きな奴がいる。それは今俺の隣にいる、神谷宗助。宗助は彼女が自分に好意があることに気づいていない。宗助は意外と鈍感で好意を持たれていることだけ気づかない。なんとも幸せな奴だ。モテル男は辛そうだ。俺はこんな人生、ごめんだと思っている。今は。前までは好きな人はいた。

俺は彼女が、渡辺美羽が・・・好きだった。

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