誤解

幸子が重体だと知る。

冬馬から電話がかかってきた。

「幸子、大丈夫かな?」

心配するフリをする。

『意識不明の重体だからなぁ』

電話口で冬馬がため息を漏らしている。

「なんで、幸子はそんな目にあったの?」

本当は知っている、2人でペアリング見ていたことを。

『いやー、買い物に付き合ってもらっててさ、佐奈は入院していたから無理だったろ?』

「その日は退院してたよ、何度も携帯にかけたのに出てくれなくて、」

『家に携帯忘れていたんだよ、ごめん』

確かに何度も電話をしてみても出なかった。

ううん、出られなかったのではないかと思ってしまう。

『本当は黙っていようと思ったんだが』

冬馬は口を濁らせる。

「ん?なあに?」

『いや、本当は佐奈と行きたかったんだよね、ペアリング買いに。だけどビックリさせたくて・・・』

え・・・?今何て言ったの?

「冬馬、きいていい、もう一度」

『だから、ペアリング買いに佐奈と行きたかったんだよね』

「でも、幸子と一緒に行ったんじゃ?」

『俺、初めての彼女だし良いもの送りたいから、アイツにアドバイスしてもらってたんだよ。アイツなら佐奈の趣味とかわかるんじゃないかと思ってさ』


私の頭の中は真っ白になった。

誤解だったの?

あれは私の勘違いだったってこと?

どうしよう、このまま幸子が目を覚まさなかったら・・・。

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