第13話 旅の終わり



 仔猫はおばあさんの家から出るとお母さん猫の待つ家へ走り出します。




 「大変だ!!すっかり忘れてた!急がなきゃ!お母さんとの約束は暗くなる前に帰ることだった!!」


 仔猫はとても焦っている様子です。無我夢中で走ります。帰りは余所見をしたり、寄り道をしません。お母さんとの約束を守るのに必死です。


「お母さんが心配してしまう。叱られたら今度は旅に行かせてくれなくなっちゃうよ!!」


 仔猫は息を切らしながら走ります。家でまつお母さん猫は心配していました。


「まあ、あの子ったらまだ帰らない。一体何処まで行ったのかしら。もうすぐ日が暮れてしまう。迷子になっていたらどうしましょ」


 お母さん猫は心配で心配で仕方ありません。子猫の帰りを今か、今か、と待ちわびています。


「母さん、大丈夫だよ。落ち着いて。もうすぐ帰ってくるよ。」


 お兄さん猫がお母さんに言います。


「そうね。心配しすぎよね。あの子を信じなくちゃ。」


お母さんは気持ちを落ち着かせます。その時です。


「ただいまー!遅くなってごめんなさい!」


仔猫が帰ってきました


「おかえりなさい!よかったわ、無事で。」


「お母さん…約束守れなくてごめんなさい。」


子猫はションボリしています。


「なあに行ってるの。約束の日が暮れる前に帰ってきたじゃない。」


「え?じゃあ、また旅に出てもいいの!?」


子猫は嬉しそうに聞きます


「ええ、良いわよ。でも次はもう少しだけ早く帰っておいでね。」


お母さん猫とお兄さん猫はニコリと笑います。


「うん!今度は早く帰ってくるよ!」



子猫はお母さん猫やお兄さん猫に、今日の出来事を楽しそうに話すと、夜はぐっすり眠りました。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る