第11話 ジャムとお家


 おばあさんは牛乳屋さんの店主と別れを告げ、仔猫に、じゃあね、と声をかけお家に入りました。子猫は畑のレンガの影で丸くなり、そのままスヤスヤ一休み。


 「さあさあ、うんと、甘〜いジャムをつくりましょうね。」


 おばあさんは嬉しそうにお鍋に朝摘んだ木苺を入れグツグツと煮込みはじめました。お砂糖はたーくっさん。うんと、甘いジャムをつくります。


 「おいしくなーれ。おいしくなーれ。うんと、甘いジャムになれ。」



 おばあさんはジャムを作る傍ら、牛乳と、パンを用意します。外にいた仔猫は、お家から漂う匂いに目を覚ましました。


「なんだ?なんだ?とっても美味しそうな匂いがするぞ。」


 仔猫は、キッチンの近くまで匂いを頼りに向かうと、近くにあった小窓にヒョイ、ヒョイ、ヒョイっと登ります。そして中を覗きます


「わああ。これはいったいなんだろう。」


 家の中にはキッチンと暖炉にベット、チェアと4人がけのダイニングテーブルがあります。絨毯はカラフルで少し渋めのグリーン、赤、黄色、青。それから、それから。子猫にはすべてが初めてです。


「これは凄い!!まるでお花のようだ!」


 仔猫がお部屋の中を見ていると、おばあさんが気付きました。小窓や開け。手招きをします。最初は驚いた子猫も、好奇心には勝てません。ゆっくり、ゆっくりと、お家の中へ入っていきました。


 




 

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