第22話 微睡の中で

 微睡まどろみの中にふわふわと浮かんでいる。

 この一人でいる状態を噛みしめながらぷかぷかと柔らかく温かい空間でひと時の安らぎを得ていた。

 ちょっとの間この中でのんびりしていよう。そう思ったのもつかの間、遠くのほうからひそひそ話が聞こえる。ゆめかうつつかわからないがきっと夢だろうと思い、体制はそのままで耳だけ傾ける。


「こいつどうする?」


「え?ぶっちゃけこいつはどこから来たかわからない異端者ってことにして街にでも放り投げておけばよくない?ぶっちゃけ有能そうには見えないしただ邪魔なだけでしょ。」


「まあそれもそうだね。じゃあ勇者様だけ異世界召喚したってことにすればいいっか」


 さっきまでぽかぽかしていた気持ちがドライアイスで冷やされたかのように、一瞬で冷めてゆく。

 あーなんか聞いてて悲しくなってきた。ほらよくあるじゃん陽《

よう》のものがさ責任を負いたくないとか面倒ごとに巻き込まれたくないとかで陰のものに責任転嫁させてくること。基本陰のものは群れで行動してないから他への影響力とかもなく、ただ唇を噛むだけで事が終わるってやつ?あー考えてきただけでも鬱になりそう。


「でもさーそうゆう風に改ざんするとなると、こいつはともかくさー勇者様の記憶も改ざんしないといけないんでしょ?それってさすがの私たちでも無理くない?」


「まあよくね?あの勇者様なんだかんだ言って気が弱そうだし声が小さいからうまい感じに言いくるめられるでしょ。」


「まあそれもそっかーじゃあさっさとこいつの記憶改ざんして飲みにいこー」


「そうだねー」


そこでぷつっとテレビが切れるようにして意識が落ちて行った。

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