第18話 異世界への扉 (神様たちのアフターストーリーあり)

「「「「安易に追いかけてしまってすまんかった」」」」


ひとまず神様たちのところに戻った自分たちは、神様たちから謝罪を受けていた。

こう見ると、結構パワーワードだな。そんなことを思いつつ、粛々と話を聞いていたわけであるが・・・


「今回のことはわしらが盛り上がりすぎてしまったのじゃ。なにかお詫びをさせてはくれぬか?」


「って言ってるけどどうする?」


相変わらず後ろで気配を消しているゆんに聞いてみる。ちなみにね言っときますけど、自分のようなぼっちになりますとね、なんか仲間ぼっちを探すっていう癖ができるんですよ。あーあの人俺と同じだな~とか失礼ですが考えているんですよ。


「ん・・・伸也が好きなようにしたらいいと思う。」


・・・この答えってさ『ねえねえ夕ご飯何がいい?』って言われたことに対して、『なんでもいいよ』て言ってるようなものだよね。あーこんな気持ちなんだ。今度から気を付けよう。

ーーー


「週に1回でも月に1回でもいいので、神様たちから地球のものでこれよかったなとか、この世界でよかったなとか思ったものを送っていただけるというのはどうでしょうか?」


「ふむぅ」


とちょっと納得がいっていない様子。

それならばと思い出したことを含めつつ説得してみる。


「前に地球にいらしたのが家電の3種の神器が生まれたときとおっしゃっていましたよね?それは大体今から70年くらい前の話だから、その間地球の食べ物や物品を食べれなかったってことですよね?

 でもこの約束をすれば、自分たちになにか渡さなければならないというで地球からものを取り寄せることができるようになるんですよ?」


なんか言ってて意地悪な気持ちになってきました。伸也です。


「ちょっと考えさせてはくれぬか?」


一人の神がそう言うとどこかに歩いて行った。


「じゃあひとまずわしらから題して異世界すたーたーせっとをプレゼントしようではないか!」


そう言ってなんか取り出してきたかと思ったら、自分とゆんの体がもやをまとったように光りだす。そして数秒光ったかと思うと、何事もなかったかのように光が収まった。


「よししたの。しからば初めに・・・ ようこそわしらのオーラムへ」


ん?ちょっと何が変わったかぱっと見わからなかったが・・・


「あっはいありがとうございます。」


ひとまず挨拶を返し、礼をする。のちになんかわかるだろう。そう考えながら

ついでにその神様はなんか満足げだった。

ーーー

どこかに歩いて行った神が戻ってきて、経理と話がついたとか何とかで受理してもらった後、神様たちに先導されてどこかへ歩いている。


「お主が言った件についてなのじゃが、なんか今後おぬしらとつながりがないわけがないわけがないらしいからな。それで了承してもらったのじゃ。」


そう言いながらちらりと技術神を見る。新たな魔法構文の実験に協力するってのが、効いたのだろう。なんかにやにやしていた。


「日時はおぬしらが着いてから1週間に1度。受け取り場所は、わしらが祀られてる祠やら神社などがあるはずじゃ。そこで受け取れるようにしておくからの。」

「お気遣いありがとうございます。この世界にも神社や祠があったんですね」


何気ない一言だったが、神様たちは一斉に一人の神に向かって、目線を向けた。そこにはきょとんとした神様が一人。


「あ~あれか。あれはの~ちょこーっと権力がありそうなやつの思考をいじったのじゃ。」


にかっと浮かべる不敵な笑い

それに対してぞわっと寒気が走ったのは言うまでもない。

ーーー

歩くこと5分くらいだろうか。周りには水平線しか見えず、神様たちとどんちゃん騒ぎをした大きな木も見えない。

 ただ一つあるのが、大きな丸の形をしたガラス玉のようなもの。そこからは、人の往来から家の屋根まで様々なものが見えている。

一人の神が話始める。


「この辺でわしらとはお別れじゃ。この短い間じゃったがたのしかったぞい。」


数時間しかいなかったはずなのに数日を超えた気分になっている自分がいる。それだけここにいた時間が脳裏に色濃く残っているということだろう。


「ありがとうございました。こちらも楽しかったです。」


ここまで打ち解けられたのも様々な神様たちの話しやすさのためであろう。

そんな感傷に浸っている中、


「あのっ最後に写真を撮りませんか?」


そう言ったのはほかでもないゆんだった。

ゆんの手にはこれもどこから取り出したのかチェキが握られている。

ーーー


「はいチーズ。」


そう言って集合写真を撮る。チェキを慣れた手つきでゆんがいじると、チェキから紙が3枚排出される。ちょっと時間をおいて、出てきた写真をゆんは神様たちに1枚自分に1枚渡してくれる。そこには、朗らかな顔を浮かべるゆんの姿があった。


「ふぉ~こりゃあ宝じゃな。」


そう言って神様たちが和気あいあいと話している。


ふと思う。自分は今ジャージである。急にここに来たため荷物は何もない。制服はゆんがどっかに持って行ってしまった。手にある写真。これをぽっけにしまっていいものか・・・


「どうしたの?」


ゆんからそう声がかかる。ゆんの手にはまたもやどっかから取り出したのか、クリアファイルが握られている。


「写真もらったのはいいんだけど、きれいに持ってけるか不安でさ」

「私保存しておく?後で落ち着いたら、写真たてにでも入れて渡すよ」

「そうしていただけるとありがたい。」


そう言って写真を手渡すと、ゆんはいそいそとファイルに写真を入れる。



 ぼーっとゆんが写真をしまうのを見ている。その顔は、学校のクラスでいるときのような、暗い顔でも太陽のように、まぶしい笑顔でもない。やさしい笑顔だった。


ーーー

それからちょっとの時間が流れて。自分たちは大きなガラス玉のようなものに向かって飛び込む。さながらスカイダイビングをするような気持ちで。

ゴーという風切り音さながらどこかに落ちているような気持ちにさせる。


「ってこれ落ちてるじゃんーーー」

「きゃあーーー」


絶叫とともに新たな世界へと旅立つ。


ーーー

わしたちは無事あちらへと2人が旅立ったのを見届けつつ片づけを始める。


「あやつら良き関係になれるだろうかの」

「まあ行けるのではないか?男のほうも満更じゃなかったろ。」


頭の中で人間たちのやり取りを思い出しつつ、コップに残っているビールを飲み干す。


「ぷっそういえばお主地球に来てから読みすぎではないか?」

「いいではないか面白そうだったのじゃ。近頃

「変なものを付けるとまた経理課に怒られるぞい」

「まあ誤差の範囲じゃろ。なんせ依頼が、じゃからのう軽いつぶし程度ならきくじゃろ」

「にしても驚きじゃの、だれか一人を連れてけるいうものに対して、同性の友達でも家族でも親戚でもなく異性。しかもほとんど面識がないと来た。そして容姿が秀でてるのかと思いきや、顔もさえないパッとしない男ではないか。」

「それ以上悪口はやめておかないとの。あの娘あの男のことになれば火の中水の中どこへだって行くぞ。どこで聞いてるかわからん。」

「「「世の中わからんことだらけじゃの~」」」


空間をなでる。すると空中にボタンが現れる。今はONになっている。これをOFFに変える。すると、原っぱだったのが一転何もない無機質な空間が広がる。


「そろそろ片づけは済んだかの。そろそろこの部屋の有効期限も切れるからの急いで支度をしなければの。」

「こっちは準備できたぞい」


背後から声を掛けられ振り向くと、様々な機材が入ったバックを持った、同僚たちが並んでいる。


「おぬしらに入れぬのか?」

「いや気に言った物品もあるのでな一度、仕分けしてから帰ろうとおもっての」


他の神たちがうんうん頷いている。まあ同情はできる。あの世界をみて回ったがどこも、すごい技術を持っていた。多少は持って帰りたい気持ちも確かにある。ほかのやつらには言ってないがビールサーバーは既に、アイテムボックスの中に収納済みだ。家であの泡と、冷たさを体験できるのであればぜひともやりたい。


「ちなみにわしがいない間に例のスターターセットは与えたかえ?」

「ああもちろんだとも」

「言語翻訳、アイテムボックスなどの説明は?」

「なんだそれそんなの必要とかいっとったかの?」


仕事が増える。ああ胃が痛む。あの子らに送る初めのアイテムは説明書じゃな。しかもあの世界、紙の値が高くて持たせられないからステータスにでもアップデートしておこうかの。ああ今日も残業か。せっかく早く家に帰れると思ったのに。

そう思って見上げた空は、白い無機質なものだった。




ーーーー

最後が長くなってしまいました。(分量がいつもの2倍です。もうしわけない)これでやっと異世界へと旅立つわけです。思ってたより長かったためこれを1篇とさせていただきます。2篇、異世界編もよろしくです。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る