第33話 半年前と半年後……

半年の療育教室を終えた私たち親子。

半年前との違いを振り返ると。。


次男を生んで、どこの誰のどんな子育て本にもないような育児が始まり。。

理由も分からず、ただただ元気な……やんちゃな…頑固な個性を持つ子だとばかり思い、振り回されて疲れていた私。。

発達障害。。という言葉を半年で違和感なく聞く事、話すことが出来るようになってきた。

まだまだ受け止めきれはしないけれど、孤独から解放され、誰かに相談出来ることが分かった。

1番しんどいのが子ども自身だという事を学んでからは、前より息子に優しくなれるようになっていた。

そして、人が大人になるまでの発達について…

自閉症の特性について、まだまだ知らないことがいっぱいあるんだと言うことも再認識させられた。

この子を育てていくために、私はまだまだ知らなくてはいけない事がたくさんあるんだ。


息子は。。

相変わらずの多動で、こだわりは成長と共に強くなってきたように感じる。

でも、周りの大人や親は、決していつも自分の言う通りにしてはくれないということを ほんの少しずつだけど 身につけていってくれてる気がした。


泣いたり、叫んだり、暴れたりすれば…自分の我を通せるわけではないと。。

大人はいつも自分の言いなりにはならないということを。

その代わり、息子がその事に気づくまでのこの半年は

親、先生と息子とのある意味壮絶な闘いでもあった。


ダメなものはダメ。

泣いたって暴れたってダメなものはダメ。


そのダメはダメ…を知るまでの息子のもがきは凄まじい。

でも、その状態に決して根負けしない。

子どものために根負けしてはいけない。。

この子が、成長し、社会に出るときに順応できるように。

世の中にはルールがあることを親の責任として可能な限り 幼いこの時期に教えなくては。。

ブレてはいけない。



半年の間、私1人では無かったので、頑張りきれた。

親としての毅然とした対応。

子ども自身、最終的にはそれが安心にも繋がる。

幼い頃に学ぶことは、後の成長にダイレクトにひびく。

この1つとっても、みんなと頑張らせてもらえて良かったと思った。


叱る、褒めるのメリハリ。


反面、、息子は、小さなことにも褒めてもらえるようになり笑顔が増えていた。

知的な遅れがあったとしても、自分が怒られてるのか褒められてるのか…気持ちの良い方をちゃんと感じている。


当たり前の日常の身の回りのことも少しずつできるようになっていた。。


食べるときのマナー、出かける時の支度、帰った時の手洗いの習慣、靴を脱ぐこと、履くこと。

着替えること、脱いだものを片付けること、

遊んだ後は片付けること……


子どもができるようになった…という表現より、私が自閉症の息子に、伝える方法を学んでいけた…ということだと思う。。

息子は、ちゃんと伝われば身につけられる力を元々持っていたんだ。

伝え方にちょっとコツが必要なんだよね。。


普通に子育てをしていたら、当たり前過ぎることで、普通に生活していればある程度見様見真似ですぐに身につけてくれるような事を この子達は何ヶ月も……あるいは何年もかかって身につけていく。


これはとても根気が必要で、大変かもしれない。

でも視点を変えれば、当たり前のごく小さなことにも、、誰も気づかないような小さな発達の変化にも 私の目がそれをとらえられるようになっていて、その瞬間をとびっきりに喜べる!

普通に子育てしていたら味わえない醍醐味である。

おもちゃを自分から片付けられるようになった時。。涙が溢れるほど喜べる!!


初めて、手を繋いでくれた時。。奇跡が起きたと驚ける!!


初めて私を頼ってくれた時、世界を敵に回しても守ってみせる!!!とさえ思える!!


あげればキリがないけど、こんなに喜怒哀楽の激しい子育てなんて、そうそうできるものではない!


そんな風に、気持ちに幅が持てるようになって来つつあった。


息子は笑顔が増えていた。。


もちろん、私にも。。












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