第23話 療育って?その②

話が前後してしまうけど…


思い出した事があったので書き留めておこう


療育支援をしてくれていた先生が、研修で教えてくれた例えがある。


人間の成長には、その時期その時期に経験して学んでいなければならないことがあって……

例えば 2歳前後のイヤイヤ期だって、ちゃんと自我の芽生えからくるもので理由がある。

その時期、そこがないと、大人からみると手を妬かない良い子……という言い方にはなるが、本来 あるはずの発達の目安となる いわゆるイヤイヤ期はないままということになる。


親はラクかもしれないけど、それも人間の成長の1つの大事な発達段階。

そこを飛ばして次のステップへ進むとき、後から 飛ばして発達していた部分がちょっとしたズレを生じさせて何らかの形で時期を変えて必ず出てくる。


親は、何事もないように、無いならそれに越したことはなく、周りと同じスピードで気に止めることなく育てていく。

あるいは、何か気づく事があっても気づかないフリをして育てていく。


子どもはその親の期待に応えようと必死に頑張る。


先生は、その状態を車に例えられた。


どんなに見た目のかっこいい車だとしても、車として機能する為の1番大事なエンジン部分がきちんと組み立てられていなければ、ある程度は走れても…いつか速度が落ち、走れなくなってしまう可能性がある……

そう。。基礎がちゃんと順序だてて作られてこそ、しっかりとした土台となってエンジンとして末永く機能し続ける事ができる。

表面だけ取り繕い、何か抜けていても知らぬ振りをしていると いつか支障をきたす可能性が大きくなる。


人も同じ。

周りと比べると 例え発達が ゆっくりだとしても……周りと足並みが揃わないとしても…焦らずしっかりその時期の発達をサポートし支援していく。

その子が今必要としている発達支援をよく見極め、人として成長していくのに大事な土台となる部分をしっかりサポートしながら、、親が孤立せず わが子に合った子育てができるよう支援していく…それが療育だと思うと。


焦らなくてもいい。

わが子の発達速度に合わせて楽しみながら子育てできるように支援していく。。


それが自分たち保育士の役目だと思っていると。。


すぐには、結果が見えない…とてもとても…とても根気のいることだ。

その子が成長し、大きくなっていく時に実感し分かっていけるのかもしれない。


わが子はどこで発達が足踏みしているのかな…どこが抜けている部分なのかな…


そこを親がしっかり知り、次にそれを受け止め、受け入れるところからすべてが始まる。


そんな感じで学んだ。


だけど、、その受け止め、受け入れる…というところが 私にはとてつもなく大きな壁で…

越えるのに 辛くて苦しくてもがいて……

なかなか越えられなかった。


実際、先生に何度も助けてもらった。


あれ?じゃあ自分はいつ越えられたのかな…?

いつなんだろう。。いや…越えられてるのかな?


よく分からないなぁ。

たぶん、越えられた…という実感より

その時その時で、とにかく目の前の小さな壁を 必死でなんとか越えているうちに


いつの間にか振り返ると越えられていた。

そんな感じなのかな。。


きれい事ばかりの子育てではない


でも、わが子の発達の速度を知り、一緒にゆっくり進む時……

それでいいと気づかせてもらった時……


自分たち親子の時間ができる

その空間は…誰かと競争するわけでも 比べる訳でもなく、ただ前の目標に向かって共に歩んでいるという独特の充実感がある。


愛情が自分から一方的なだけで、子どもから返ってくることがないように思え、子育てが寂しく感じていた。

そんな虚しく感じてしまいがちな難しくて大変な子育て……から、育てがいのある無限の楽しみが待つ子育てへと意識が変わっていく。。



空回りしていた愛情と感情がゆっくりわが子に伝わり始める。。


可愛いな。


心からそう思って子育てをしていける。


世の中 色んな見解はあるだろうが、私は療育から多くのことを親として教わった。

















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