第18話 長男への説明

さて、5歳上の長男にもきちんと弟のことを話しておかなくてはいけなかった。

でもまだ小学1年生ほど。。

年の離れた弟のことは溺愛していたが、私たち親がその弟の事で病院やらなんやらとバタバタしているのも見ている。

更に三男も生まれ、ますますお兄ちゃんはどうしても今までと違い1人で頑張らなくてはならないことも増えてくる。

しばらくすれば、次男の療育教室が始まる。

家族の生活スタイルがかなり変わっていく。。


しっかり者の長男とはいえ、まだまだ幼く 親に甘えたいだろうに……


そんな長男にあの時どう伝えただろう…ゆっくり昔の記憶を辿ってみる……



……あのね、弟くんは他の子よりちょっと変わってて色々と大変な所があるでしょ?

大きな病院でちゃんと検査してもらってね、弟くんはみんなより分からないことや出来ないことが多いってことが分かったの。

お母さんやみんなの話してることもよく分かってなかったり…やっていい事と悪い事が分かりにくかったり。

お話も上手に出来ないし、うまく伝わってなかったりしてるでしょ?

「自閉症」っていう名前の障がいなんだって。

病気とは違うんだよ。生まれた時からで治らないし、効くお薬があるわけではないの。

原因を色んな人が研究してるらしいけど…まだ分からないことだらけなんだって。

だからね、お父さんもお母さんもどうしてあげたらいいのか分からなくてね…病院の先生たちにこれからたくさん教えてもらわないといけないの。

治らないけどね、弟くんが生きやすいように助けることは出来るんだよ。

その方法をね、これから教えてもらいながら生活していくことになるの。

そのためには、弟くんを市内の教室に連れて行ったり病院に行ったり…ちょっと忙しくなるかもしれない。

おばあちゃんのところでお留守番してもらわないといけない時もあると思う。

でもね、あなたも弟2人も変わらず大事に思ってるのは覚えていてね。

弟くんはね、まわりの同じ年の子が10の力をもってるとしたら…もしかすると5しかないかもしれない。

でも…残りの5を家族みんなの力で足してあげるとね、弟くんだって10になれるよね。

その足りてない5になれるようこれからみんなで助け合っていこう。どうやったら5になれるか、お母さんたちもたくさん専門の人に教えてもらって頑張るからね。

でもね、自分がしんどい時や辛い時があったら我慢しないで教えてね。絶対お母さんたちはあなたを助けるよ。

みんな大事は一緒だよ。



こんなふうに数字で表現して伝えたと思う。

イメージしやすいかなと思って。。

そして、手をかける時間がどうしても物理的に弟に多くなってしまうけど愛情は3人変わらないこともしっかり伝えておきたかった。


優しいお兄ちゃんはもちろん、「僕は5になってあげるよ!!」

と力強くこたえてくれた。









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