2-2 性暴力表現の脅威と妥当な制約

 前項で、性暴力表現が女性への脅威となることを論じた。


 この侵害へ対応するために最も妥当なのは、性暴力表現を公から排除するゾーニングの徹底である。


 性暴力表現が現在の権利侵害となる理由の大きな部分を、性暴力表現が公に開陳されているという点が占めている。公に開陳されているところから逆説的に、受け手はその行為が、少なくとも公にしてもいい程度のものであると受け取るのである。


 であれば、公にしなければ問題はおおむね解決する。未成年が入れないスペースでやり取りすれば、少なくともその表現が公にすべきではないものであると共通理解が得られる。


 また、目の前から性暴力表現が消えることで、女性への脅威も小さくない範囲が消失するだろう。目に入らなければ、脅威が想起されることもない。


 ゾーニングとはいっても、所詮売り場が少々限られる程度のことである。コンビニが成人向け雑誌を撤去したことからもわかるように、元々公の場での性暴力表現のやり取りは多くない。そのことを考えれば、ゾーニングが極端に表現の自由を制約するとは言えない。最小限の制約という点は守られる。


 こういう理由で、ゾーニングは肯定されるのである。

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