第3話 峠 最後のサムライと燃えよ剣

公開初日で観てきました。コロナ禍で2年公開延期になり、公開予定当初は、その前に同じ司馬遼太郎原作の「燃えよ剣」の上映予定で、「うわあ、凄い」とワクワクしていた物でした。両方とも原作を読んでいたのでワクワクして待っていた。


燃えよ剣は、一年の公開延期で上映されると、喜んで観てきましたが、岡田准一さんのタテ指導は見事で、土方歳三にしか見えなかったけど、余りにも新撰組の歴史を詰め込み過ぎたため、よく理解が出来なかった。道場自体の話し、芹沢鴨の暗殺、池田屋騒動、土方歳三の淡い恋、函館戦争など情報量が多過ぎた。頭がついていかなかった。もっとエピソードを絞った方がよかったと思う。


その点、峠の方は、何故開戦に至ったのか。何故戦争は避けられなかったのかがよくわかって、緩やかな時間の経過だった。役所広司さんの迫力ある演技。何故開戦か?という事に、民が塗炭の苦しみを味合うので戦争は避けたかった。しかし、「道理」が間違えた場合は、死を選ぶ覚悟が整う。それがわかった作品だった。河井継之助に反対していた家臣も「道理」を聞いて、「わかった。ワシも死のう」と言える潔さ。「一緒に死んでくれるか?」ではない。負け戦になる事はわかっていても、逃げられるさない。道理のわからない官軍の指揮官たちを奥州列藩の鎮撫部隊を送り込んだから、東北諸藩の悲劇が起こったのだとわかった。


何故、徳川慶喜の首を欲しがっていた西郷隆盛が、勝海舟との談判で江戸城を無血開城したのか。そこに勝海舟が解く「道理」に、西郷隆盛が納得し、自分の部隊も開戦を迫る決起盛んな自分の兵隊たちを抑えられる自信がなければ、江戸城無血開城など出来ない事なのだ。山形で西郷隆盛が神社で祀られる違いがあるのだと思う。


しかし、2年前にはなかったウクライナとロシアの戦争が峠最後のサムライでは重なるところがあり、強権を振るう官軍がロシアで長岡藩がウクライナの立場に見えた。問答無用の世界観では、強者弱肉の荒んだものにしかならない。


峠のラストは、何か大人し過ぎて不満だった。だが、役所広司さんの本気の演技は素晴らしい。


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