第19話

体中が痛ぇ…頭が痛ぇ…吐き気がする…ちくしょう…




警備隊が走って来た時にはもう遅かった。。取り返しの付かない事をしたのはその時点で分かっていたけど、俺は自分の感情をコントロールする事が出来なかった。入り込んで来た奴らにも俺はかかって行ったんだ。


『ケツの穴貸せって言われて大人しく貸せばいいのかよ?てめぇらがしっかりしてねぇからこんな事あるんだろうが?バティマン共がぁ!!ふざけん…』


腕を取られ、薄汚い部屋の畳に押し倒され顔を押し付けられても尚、俺の感情は止まる事を知らなかった。数人がかりで手錠を掛けられ、部屋の外に連れて行かれた時、他の部屋の連中が驚いた顔で俺を見ていた。


『なんか用かおかま共?てめぇらは黙って掘られたのか?気持ち悪ぃ!見てんじゃねぇよ!腐るから見るな!てめぇらっ…』




口を抑えられた。そしてそのまま取り調べ室に連れて行かれ警備隊ボコボコにされた。椅子にくくりつけられた。俺が自分を取り戻したのはそれから約1時間経った頃だった。


その後処遇担当のお偉いさんに取り調べを受け、何があったのかを事細かに話した。


「1229番、お前は間違った事はしていない。そこでお前が言いなりになっていたら、それは連鎖するからな。それがここの悪い所なんだ。…でもな、手を出したら負けだ。待っている人の事を考えるんだ…。」


俺は何も言わなかった。何も言えなかった。ただ刑務所の中の自分の無力さに呆れ、虚無感に襲われ小刻みに震えていたんだ。



取り調べが終わり、俺は取り調べ中と掛かれた独居にぶち込まれた。


前回と違い、嬉しくも何ともなかった。飯も喉を通らず、ほぼ一睡も出来なかった。

2日経ってもそれは変わらず、俺は痩せこけ、目の下にクマができ、鏡に写る自分の顔はもはや病的だった。


部屋のドアが開き、医務に連れて行かれ点滴を打たれた。そのまま入病と言われ[娑婆で言う入院]、俺は病舎と呼ばれる部屋に移された。


睡眠剤と精神安定剤を服用され、何かを考える事を奪われた。


1日中眠らされ、ただ生きた屍として数日間を過ごした。


何日経ったのか覚えてない。いや、何で今自分がここにいるのかさえ曖昧となっていた。ただ生かされているだけ。その表現が一番合っていただろう。


ある日ドアが開き、俺は懲罰審査会を受けた。内容は覚えていない。その後言い渡しで懲罰30日と言われた。








どうでも良かった

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