第16話

判決の次の日、メグとPAPA-RATが面会に来た。


「俺がお前と次に会えるのはもう暫く後だな…後はRAGGA CATに色々と聞くからな。サポート出来る事があったら何でも言ってくれ!」


『本当に何から何まで有り難うございました。…俺、頑張りますから。頑張って良いリリック溜めてブランク作らない様にします。…皆様にも宜しくお伝え下さい。』


「…あぁ」


PAPA-RATはそれ以上何も言わなかった。それがメグに気を遣ったのか、感極まって話せなくなったのかは分からなかった。


「TOY…私なるべく毎月面会行くし、毎日手紙書くから…」

『メグ…有り難う。…有り難う。』


それ以上何も口にはしなかった。一時も目を離さず、お互いの想いを確認し合った。…大丈夫だ。頑張れる。



その二日後、朝一で拘置所の職員に、


「2897番、荷物をまとめておけ。」


と言われた。


そこから役二週間、移送待ちとして拘置所の別の部屋で生活をした後、遂に移送の日がやって来た。


「持ち物の中でいらない物は今のうちに家に郵送するか廃棄しておけ…ん?何だこのエロ本は?刑務所に行ったらこんなのは見れないぞ?廃棄にするか?」


『いや、いいです。持って行きます。』

この数冊のエロ本はOZIKIが差し入れてくれた物だった。ぶっちゃけ性欲なんてかけらも無かったけど、折角差し入れてくれたのだからとパラパラとめくっていたら、所々にOZIKI特有のブラックジョークが書き込まれていた。手紙なんて照れくさくて書くわけが無い。だからこういう形でメッセージをくれたのだろう。俺はそんなOZIKIが大好きだった。



俺に取って宝物となったそのエロ本や仲間からの手紙、そしていくらかの日用品を鞄に入れて俺はバスに乗り込んだ。


場所はもう分かっている。何日か前に言い渡されていた。



湘南少年刑務所



初犯で26歳以下の犯罪者が全国から集うこの場所。痴漢常習犯みたいなのから、何百人といるギャングの頭までありとあらゆる人間が集う場所だ。噂では日本全国の刑務所の中で一番ガラが悪く、イジメや自殺が後を絶えないらしい…少し考えたら背筋が寒くなったので、俺は何も考えずにしばらく見れないであろう娑婆の風景を鉄格子の付いたバスの窓から眺めていた。





二時間も経たない内にバスは湘南少年刑務所へと入って行った。



…いよいよだ。




さぁ、早速皆睨んできたぞぉ…


ぼんぼくら

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