『元怪盗の教える怪盗の上手な仕留め方』 黒銘菓短編集27弾

黒銘菓(クロメイカ/kuromeika)

大怪盗時代の負の遺産

世界のあらゆる金品美術品を手に入れた大怪盗ゼロ。

彼に憧れた人々は怪盗になり、世間を騒がせた。


『今夜ミネルバの泪を頂く』

『秀吉の万両箱を頂く』

『お前の店の商品を貰う』


彼の作った世は正に、大怪盗時代!







『エルシナの笑みを頂きます

怪盗ワン』

予告した以上、確実に盗む。それが俺。怪盗ワン!


エルシナの笑みが飾られている美術館の間取り&ダクトの構造は頭に入っている。

警備は手薄。

楽な仕事だ。



ダクトを匍匐前進しながらそんな事を考えていた。

しかし、



ウィーン!!


前方から掃除ロボが来た。

ダクト内におよそ有るべきでない代物。

そして、ロボには刺さったら明らかにヤバそうな剣山が載っていた。

ダクトに横道は無い。

自分の血塗れの行く末に戦慄した。



ガッ!!

匍匐後進して逃げようとする。が、バキ!


ダクトが折れて下の床に投げ出されてしまった。

「イテテテテ」

「今晩は、怪盗ワン。

そして、逮捕だ。泥棒。」

下には警官の軍勢、読まれていた!?警察ごときに!?

「この程度で怪盗なんて…笑わせないで。」

黒髪の美人が俺を見下す。この程度だと!?

「泥棒ゼロ、もういい。用は済んだろ?」

男がそう言った。


ゼロ?怪盗ゼロ?

俺の手口を読んだのは…この女!?「あんたゼロか?俺ファンなんだ。」

「俺はお前みたいな奴が嫌いだ。 美学無き泥棒が怪盗を名乗るな。」

俺は愕然とした。







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