第8話 明察の少年5

「山里、指示だすのも面倒くさい。目閉じてろ」


「え、きゃあ! 」


友也はそういって、澪香を抱き上げる。そしてまもなく、発砲音がなる


「目閉じろよ……」


呆れながらも、友也は完全に相手の攻撃を避けている。


「だ、だって!! こ、攻撃されてる!! 」


「お前のそのリアクションが面倒だから目閉じろって言ってんのに……」


人が本気で面倒くさがってる顔だ。


「何で攻撃が当たらないの! こちらの事を一切見ていないのに!! 」


「うっせ。そんな柔な攻撃当たるわけないだろ」


この状況で攻撃が当たらない理由がわかっているのは、友也本人のみだ。一応戦っているのにも関わらず、以心伝心しているのは澪香と、攻撃をしている本人のなぜ攻撃が当たらないのかという最大の疑問だった。


「いいか、山里にも分かるように説明してやる。この女がどんなやつはか後でたっぷりと時間をとろう。それより、今ここでの勝利条件だ。とりあえず、第1段階、西宮と合流するぞ」


「あら、もう1人の少年なら、今ごろ私の連れが倒している頃よ。残念だったわね。あなたのその第1段階とやらは絶対に成功しないの」


友也の一言を聞いて余裕を取り戻したであろう女は攻撃をさらに増大する。


「観念しなさい。もうすぐ、あなたのお友だちを倒しに行った私の連れが戻ってくる頃よ。なぜ、攻撃が永遠に当たらないのかはこの際どうでも良いわ! 最終的には、私が勝てば良いのだから!」


「やけに話長いな……それに、してる話も無駄話。あんた本当に俺に勝てると思ってるの? 」


「ええ、勝てるわよ。何せ、あなたは今から1対2。それに、そんなお守りも抱えて、あなたの方が先にスタミナも途切れることでしょう」


「そうだよ。私の事は良いから、高瀬くん1人でも良いから逃げて。高瀬くん1人なら、助かるでしょ」


「じゃ、俺もさっき言った。俺の任務は、あんたを傷1つつけずに帰すことだ。じゃないと、生きて帰ってきたとしても、玲に殺されるわ」


それにと続け、そこで立ち止まる。


「あら、観念したのかしら。聞き分けの言い子は好きよ」


「は、名前も聞いてない女に好かれる趣味はない」


「あら、減らない口だわ。まあ良いわ、すぐに終わらして上げる」


友也の前には拳銃のトリガーを引こうとする女


「高瀬くん! 」


「終わりよ! 」


「ああ、そうだな。だけど、悪いね。俺等の仲間、優秀な人しか集まってないから」


友也の前で、弾丸は防がれた


「な、」


「友也、誰こいつ」


「知らない。急に攻撃を仕掛けられた」


今度は、澪香たちの後ろから弾丸が飛んでくる


「悪い。遅くなった」


その弾丸の発車地点には博夢がいる


「西宮くん! 生きてたの!? 」


「あ? 勝手に殺すな。あんな雑魚、生き残らない方がムズいわ」


気づけば澪香の後ろには玲がいた


「な、中村くんまで!」


「博夢から、救援信号を貰ったからな。幸二と来た。確かにこの状況は救援信号が来るな」


玲はまっすぐ女を見据える。


「さて、あんたはどこの所属だ。洗いざらいはいてもらおう。あんたの事、他の学校のリストでも見たことがないけど」


「あなた、何者? 日本の推定能力者の数は少ないわけではない。全員分覚えていると言うの? 」


「今ので確定だ。この女はどこの所属でもない。未発見者で、能力者って言うのは、聞いたことないけどな」


「さっきの男、一応拘束してるけど」


「じゃあ、まとめて聞き出そう。友也、お守りはしておく。頼んだぞ」


「あいよ」


「なめられたこと。5人もいるのに、1人でしか寄越さないとか」


「フェアにしてやったんだよ。と言いたいところだけど、フェアにする余地もないね。あんた程度、俺1人で十分ってことさ」


「それが舐められたと言うのよ!」


そういって、女は姿を消した


「消えた!?」


「山里うるさい。幸二、防御頼む」


「あいよ」


玲の一言で、幸二と、博夢が、集まってきた。


「なんで西宮もいるんだよ」


「いや、楽だし」


「俺が守る理由があるのは、そこの女と玲だけなんだけど」


「ついでじゃん。頼んだぜ宮松くん」


「うるせえ」


「これだから、つれてくるのは渋ったんだけど……まあいい二人とも仕事はしろよ」


その一言で、二人の目付きが真剣そのものになる


「高瀬の支援は? 」


「いらないだろ。友也も一人で良いって言ったしな」


「一緒に戦わないの!? 仲間なのに!」


「……親しいやつでも、俺にそれだけの口を叩くやつは中々いない、山里澪香。威勢はだけは満点をやれるね」


玲はあきれたような目で、澪香を見る


「それに、友也にとっては、俺たちはこの中にいるのが良いのさ」


澪香は玲のいった言葉の意味がよく分からない。


「意味わかんないこと言って、助けなきゃ! 」


澪香は、前に進もうとするが、見えない壁に当たった。そしてまた、目の前から振動が来る


「え!? なにコレ!? 」


「なんなのよ!」


すると目の前に、先程の女が現れる


「こっちに来たのか……」


「2分の1で外すんだな」


一方の玲や博夢は余裕そうだ。ほぼ棒立ちと変わらないことになっている。


「俺今日来た意味ある? 幸二はあるけども、俺はねえじゃん」


「いや、俺の精神力アップ」


「意味分からん」


「さすが、玲の自称右腕の西宮くん言うことが違うね」


「あ? 喧嘩なら後で買ってやる」


「幸二、いらん挑発をかけるな。博夢も乗るな」


「……今日は、中村くん仲裁係として来たんじゃないかな」


澪香は考えるのを諦めた。


「さてと、あんた俺のこと忘れてない? 透明化かな? 良い能力だと思うけど、そんな能力は俺の前では皆無とかすから」


女の後ろに、友也がいる


「残念だったね。逃げ切れなくて、女だから手加減はしといてあげるよ」


そういって、友也は懐からスタンガンをだし、女に押し当てる


「じゃあ、後でね」


友也は躊躇なく、スタンガンのスイッチを押す


「一丁上がり」


「お疲れさん。とんだ緊急任務が入ったな。友也」


「玲。本当だって、予測してた? 」


「さあな、俺のところに、救援要請が来たけど、なんもしてねーし緊急任務の報告書は俺が書くわ」


「玲マジ神」


「無駄口叩いてる場合じゃないだろ。通常任務はきちっと仕上げてこい。博夢、幸二に例の対戦相手、引き継げ。報告書はお前の名前で記載するから」


「はーい。こっちだ、宮松」


「はいはい」


そう言って、また二人はまた、どこかへと消える


「山里は、俺に聞きたいことあるんじゃない? 」


「う、うん。……高瀬くん、性格変わってない? 」


「そうだね。まあ、あからさまにわかるだろ」


「どうして、性格表に出さなかったの? 」


「別に。外面は良い方が何かと得だしな。現に、クラスの大半の奴は俺がいい人だと思い込んでるし」


そう言って、全く悪びれもせず言う。


「……友也、お使い。やっぱあの二人で行かせると心配だから見てきて」


「うぃー」


それだけ言うと友也はその場を離れようとする


「待って、話は終わってない」


「構わん。行け」


玲の一言で、友也は走り去る


「そっからの質問には俺が答えてやるよ。といっても、友也の能力を話した方が早いだろう。あいつの能力は。妖怪の覚のように、相手の心を読む。テレパシーも同じいみだぞって言ったのにあいつは能力名をサトリにしてる」


「サトリって確か……」


女を拘束しながら話を続ける


「体験してあるぞ。その名の通り相手の心があいつは読める。思い当たる節が大量に出てくるんじゃないか? 」


そういわれてしまえば、思い当たる節が大量に出てくる


「あいつは能力のオンオフができない。発祥してから永遠に他人の心の声を聞いて生活している。あいつに嘘は通用しないぞ」


「それじゃあ最初から、ずっと」


「ああ。ずっとだな」


「……いってくれたら、良かったのに」


「俺が言うなっていったんだ。」


「え? 」







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