ログインボーナス25日目 たこ焼き

 朝起きると一通のメールが届いていた。


「おはようございます。今日のログインボーナスはたこ焼きです」


 机の上や台所を確認しても、たこ焼きと思われるものはない。

 きっとこれは夕刻時に部屋に帰ってくると、配達員さんが作っているパターンなのでは?

 そう思うことにして朝の準備を始めた。


 昨日は凄く微妙なボーナスだったから……。配達員さんは喜んでいたみたいですけれど。


 18時、最寄り駅で降車するとあの黒い高級車が俺を待っていた。

 見るからに道行く人々は若干引き気味である。


「お疲れ様です。大阪に、たこ焼きでも食べに行くんですか」


 助手席に乗った俺はそう言葉をかけた。銀座に高級なたこ焼きなんて売っているのか知らないけど。


「いいえ、私が作りますよ」


 配達員さんは近所のスーパーマーケットの駐車場に高級車を停めた。


 籠持ちとして俺も一緒に中へと入る。

 配達員さんは、たこ焼きの粉、卵、たこ、ソース、青のり、かつお節、葱、紅生姜、チーズ、納豆とどんどんと籠に具材を詰め込んでいく。

 そんな配達員さんは調理器具コーナーで歩みを止めた。


「これ持ってください」


 と、俺が持っていた籠をはぎ取り、たこ焼き器を持たしてきた。


 もっと本格的な真似でもされるのかと思っていた。「ヘイ! ラッシャイ」と額に鉢巻を締め腰にタブリエを巻いて。

 そんな想像と反した行動を取っている配達員さんは、俺とテーブルを挟んでたこ焼きを焼いている。


 客観的に見たらただタコパをしているだけ。

 配達員さんが焼いてくれたたこ焼きを口にする。

 口に納豆の味が広がった。

 新味のタコパの初手はネバネバしていた。

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