第11話 正論をぶつけすぎると、お見合いが組めない話
インターネットを見ていると、「はい、論破(ベロベロバー)」みたいなのをいっぱい見かけます。
人を言い負かすのに一生懸命な人がパソコンの中ではいっぱいいますが、仲人がパソコンの中ではやってはいけません。
なぜかというと、仲が悪くなるからです。もっというと嫌われるからです。
私は、自分のシステム画面の中で、必ず担当の仲人をチェックします。
「あ、今回はお見合い組みやすい人だわ」とか
「めんどくさくて手間がかかる人」とか
「またイライラしそうな人に当たったわ」とかいろいろ考えています。
9割の人は組みやすいですが、残りの1割で結構手間取ることもあります。
何で手間取るのかというと、ポイントは二つ。
日時調整と場所調整です。
例えば、平日だけを希望日に出してくる人。
ルール違反ではないので、責めることはできませんが私の会員が土日休みだった場合、「うわ」とは思います。
ここで「こちら土日休みなので、平日ばかり出すのやめてくれませんか」と言うこともできます。でも、言ったらどうなるのか。
私の印象が悪くなるだけではなく、何もまだこの日時候補を今の段階で知らない会員の印象まで悪くなるんです。
「うわ、平日ばっかり出すなって相手がゆうてるよ〜」と相手の仲人から相手が聞かされれば、
「やだ、もうお見合いに行ってもすぐ帰ろ。断ろうっと」と思ってしまう危険性があります。
だから、私はこの場合、いったん飲み込むんです。ぐっと。
「平日ばっかり出すな、ぼけ」とは言いません。
「土日休みの人間に平日をぶつけるな」というのは、正論ですが、この正論は何も生み出さないからです。
では、何をするのか。
「いただいた日時で調整してまたご連絡いたします」とだけ相手に丁重に返します。
そしていただいてきた日時を自分の会員に伝えます。
土日休みの会員に平日候補のオンパレードで来た場合は、
「平日ばかりになっていますが、無理にその日を空ける必要はありません。
平日仕事帰りで大丈夫そうな日時2つと土日3つをあわせてくれませんか」と
自分の会員と交渉します。
「平日で頑張りなさい」という押しつけをすると、今度逆に会員が相手に悪印象を抱いてしまいます。
というか、平日の休みしか持ってこない段階でもうすごく印象が悪いのですが、それは私にはカバーできません。できるだけスムーズに日時調整をするのかが腕の見せ所です。
だいたい1〜2回調整を繰り返したら、落とし所に日時が出てきます。
正論をぶつけて、「土日も出してこいや」と言えば、手間もかからないいでしょう。
合理的に向こうも土日の日時を出してきて調整が早くできるかもしれません。
でも、何でも合理的にやればいいというわけではないのが、この仲人の仕事です。
だから多分・・・男性より女性向きなんでしょうね。
わざわざ手間がかかるほうを選択して人間関係をとるというのは、男性社会ではあんまりないことでしょうから。
無駄で人間関係円滑にすすむなら、無駄は無駄ではない、それが私の持論です。
場所の調整の話は、また機会があればお話しできたらと思います。
以上〜
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