秋本夢美――①
カーテンレールに括りつけたベルトに首を引っかけ、だらりと舌を伸ばしてぶら下がるお姉ちゃんの姿は、まるで精巧にできたホラーハウスの人形の如き異質な存在感を示し、昨夜まで当たり前に生きていた姿とは似ても似つかない非なるものに思え言葉にし難い奇妙な感覚を味わわされた。
だけど、目の前にぶら下がるのは間違いなくお姉ちゃん本人。
「……お姉……ちゃん?」
あたしは、呆然となりながらふらつく足取りで室内へと入り、お姉ちゃんの側へと近づいていく。
「……」
生きている気配は感じない。
お姉ちゃんはもう、完全に動かないものになっている。
そう悟りながら、漏れたのであろう尿で濡れたパジャマと床へ目を移し、その足元に一通の封筒が置かれていることに気づいた。
それをそっと拾い上げ、中に入れられていた一枚の手紙を抜き取り文面を開く。
「…………何これ?」
見慣れたお姉ちゃんの字が、そこには並んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます