《ゴブリン討伐》

西の門を出た俺は辺りを確認する。


街の周りは草原が広がっている。門の前道はフラー公国の公都ラースへと続いている。


南西の方を見ると小さな山が見える。1時間も歩けば着くだろう。俺は南西に向かいながらサポーターと話をする。


『なあ、ゴブリンって地球に伝わってる様な感じなの?』


〈ゴブリンはズル賢く、少しですが知能があり独自の言語を持つ魔物のです。通常、ゴブリンやオーク等人形の魔物は亜人と呼ばれています。大体、地球で知られてる通りです。〉


『じゃあ、人間を襲って女性を拐うってのも?』


『はい。見つけた人間を罠にかけて男は殺し、女性は連れ去ります。』


やっぱり。なら、女性を連れ去るのはやっぱりアレするためだよな。よし。そんな場面に出くわしたら皆殺しにしよう!


『やっぱりオークもゴブリンと同じ感じなんだよな?』


〈はい。ですが普通のオークは普通のゴブリンより強いです。〉


なるほどね。俺が知ってる通りか。


その後も暇潰しに話をしながら歩き1時間程で山の前の森に着く。


「思ったより山がでかいな。森も結構深そうだ。」


山が街から見えた感じよりでかい。森も山に沿って広く深く広がっている。


「ここにいても仕方ない。森に入るか。」


俺は森の中へと進んでいく。森の中に進むが手前の方には何もいない。森の中の木々は大きく空があまり見えない為、中に光があまり入らず少し薄暗い。


「こんな所に夜に入ったら何も見えないだろうな。」


俺がそんな事を呟いていると、背の高い草の影から何かが飛び出してくる。俺は剣を抜いてそれを一撃で殺す。


「ゴブリンじゃなくてコボルトか。」


コボルト。ランクFの魔物で凄く弱い。こいつも亜人だな。ゴブリン以外にも亜人の魔物がいるのか。倒したコボルトを見ていると同じようにコボルトが何体か飛び出してくる。


「ギギーッ」


一体のコボルトが持っていた木の棒が俺のすぐ横の地面を打つ。武器を使うのか。他のコボルトも良く見ると木の棒を持っている。面倒だな。


「よし。まとめて倒そう!」


風魔法の初級攻撃魔法、"風刃ウインドカッター"を一度に複数のコボルトに放つ。


風の刃により真っ二つになるコボルト達。すると、何処かから矢が飛んでくる。


俺はその矢を剣で叩き落とし、矢を放った何かを探す。すると、他からも矢が次々と飛んでくる。


俺は周りの気配を探ってみる。どうやら囲まれているようだ。


しばらく矢が飛んできたが、少しすると矢が止まる。そして、15体程のゴブリンが姿を見せる。


ゴブリン達は武器を持っている。ほとんどはこん棒だが2体程、剣と杖を持っている奴がいる。おれは2体のゴブリンに鑑定を行ってみる。


{ゴブリンマジシャン。レベル35。ランクD}


{ゴブリンナイト。レベル42。ランクC} 


どうやら、上位種のようだ。


『マジシャンとナイトって?』


〈ナイトは自分のランクより低いゴブリン達を従わせます。マジシャンは初級程度ですが魔法を使ってきます〉


「魔法を使うのかよ。」


こん棒を持ったゴブリン達が襲いかかってくる。俺はゴブリン達の攻撃を交わしながらナイトの様子をみる。


「ギャギャ。ギャッ」


ナイトは他のゴブリン達に指示をだしている。


『あいつを殺せば他のゴブリンはどうなる?』


〈ナイトに従っているだけですのでナイトを倒せば、他のゴブリン達は逃げていくと思います。〉


なるほど。じゃあ、5体だけ殺してからナイトを倒すか。俺は剣でゴブリンに向かっていく。


ゴブリンに向かっていくとマジシャンが"火球ファイアボール"を放ってくる。俺は剣で火の球を切り一度距離を置く。


「あいつ邪魔だな。」


俺はマジシャンに向かって"風刃ウインドカッター"を放った。するとナイトの奴がマジシャンを庇う。


すると庇ったナイトにマジシャンが回復ヒールをかけて回復させてしまう。


「マジかよ。回復魔法まで使うのかよ。邪魔だ!」


俺はマジシャンに向かって風魔法の中級攻撃魔法、"風槍ウインドランス"を複数放つ。だが、


「今度は別の奴かよ!」


ゴブリンマジシャン程度なら一撃で倒せる。"風槍ウインドランス"だが、こん棒を持ったゴブリンがマジシャンを庇ってしまった。


「うわ。こいつら結構面倒だな。ちゃんと連係をとってやがる。」


なるほど。確かに普通のFランクやEランクの冒険者じゃ連係をとるゴブリン達は倒せないな。


「でも、俺は普通の冒険者じゃないんだよ。くらえ。」


"雷撃サンダーボルト"。俺はゴブリン達にまとめて雷を落とす。さすがに、雷より速く動く事は出来ないだろ!


"雷撃サンダーボルト"。風属性に連なる雷魔法の中級攻撃魔法だ。


「終わった。さて、耳を切り落とさないとな。」


俺は気持ち悪いのを我慢して耳を切り落とし袋に入れていく。すると、普通のゴブリンの下にいたナイトが動き出して逃げていく。


『何であいつ生きてんの?』


〈おそらく、少しかすっただけかと。少しは痺れていたと思うので死体のふりをして逃げる機会をうかがってたのかと!〉


「なるほどね。まあ、雷は俺も見えないし確実に当てないと駄目だな。しょうがない。あいつは倒すのは諦めるか。」


俺がそんな事を呟いていると、ナイトの逃げた方向が騒がしくなる。


『なんか森が騒がしくなったんだけど?』


〈おそらく、集落が有るかもしれません。〉


は?なんて?


『どういう事?何で集落が有るかもしれないって思うんだ。』


〈ゴブリンは通常、上位種が下位のゴブリンを庇うなんてしません。ナイトがマジシャンを庇ったのは集落に取ってナイトよりマジシャンの方が貴重な為、ナイトより上位種のゴブリンに命令されていた為かと思います。〉


マジかぁ。集落があんのかよ。


『一応、本当に集落があるか確認だけでもした方がいいかな?』


〈ですが、確認をしたらギルドに報告しなきゃいけませんよ?見つけた経緯も聞かれるので先程の事を話さないといけません。〉


『何とか上手く誤魔化せないかな?』


〈可能ですが、マスターが直接潰した方が早いと思います。〉


『いや、さっきの戦闘でもゴブリン達の連係が面倒だったのに集落なんて相手したら大変じゃん。』


〈それなら上級魔法で、すぐに終わらせれば良いと思います。仮に倒せなくても、確実に瀕死状態だと思うので後は止めを刺すだけですみます。〉


う~ん。とりあえず確認だけでも行ってみるか。


どうか集落なんてありませんように!

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