ヒロインのキャラクターが、不思議なタイトルの持つ色合いを際立たせます。

同じあらすじを元に様々な作者様が色をつけてご自身の作品として書くという自主企画『筆致は物語を超えるか【海が太陽のきらり】』参加作。
自分の学びのために覗かせていただいた本作ですが、そんな目的をすっかり忘れてしまうほど、純粋に「出会って良かった作品」だと思いました。

企画にご興味のある方は、どうぞ企画者様がご提示なさったあらすじを先にご確認してみてください。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054891740375/episodes/1177354054891741090

このあらすじから本作を生み出された作者様のセンスと才能に脱帽です。

……あ、物語そのもののレビューをしてませんでした。
主人公はちょっと変わったヒロイン(?)ですが、とても可愛らしいです。
最初の一文のインパクトに、彼女のキャラクターが凝縮されていて見事です。

そんなヒロインが、街から来た少年と出会い、心を通わせていきます。
お互い「好き」という思いが芽生えますが、それぞれに帰る場所のある二人。
提示されたあらすじをどう回収するのだろうとメタ視点の興味と共に、二人の淡い恋の行方が気になります。
最後はヒロインの優しさと彼の思いが、「へそ」の中で美しく混ざり合います。

何度も読んで味わいたくなる、おとぎ話のような可愛くて素敵な掌編です。

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