第4話 一年の距離と三年の空白

「えっと、こいつがまあこの前俺の部屋に来ていた大地だ」


「この前は悪意がなかったとはいえ配慮が無かったすまない」


綾香の前まで来て深くまで腰を折る


「いえ、そのこちらこそ動揺して勝手な勘違いをしてしまって…」


「ははっ、綾香、そいつになんてフォローしなくていいって!」


そんな態度を鈴はいつもの豪快な笑いで見事に台無しにしてしまう


「何だと青木?俺が誠心誠意の謝罪をしているとゆうのにお前とゆう奴は」


「ここばかりは青木の言う通りだ、

お前のたくさんの奇行にいちいちフォローしていられん」


「何、奇行だと!?聞き捨てならんな!

俺は自らに対する欲望とを有りのままに生きてるだけだ!」


「余計たちが悪いな」


「まあこんなやつだけど仲良くしてあげてね?」


「言われ方は気に食わないが、

これからの行動はなるべく注意する、君さえ良ければこれからよろしく、花下さん」


「こちらこそよろしくお願いします!

えっと…


「ああ、俺の名前は、柳沢 大地だ」


「よろしくお願いします、柳沢さん!」


「で取り敢えず、現時点での女子メンバーの水着シーンはいつ見れる?」


「バカじゃないのあんた?まだこんな寒いのに着る訳ないじゃん、やっぱ面白いわ〜」


腹を抱えてみんなして笑う


「取り敢えず夏にみんなで集まれることを願おう友よ、頑張れば後輩女子の水着姿もゲットできるはずだぜ!」


「それは素晴らしい!今度は写真にも手を出してみるか!」


「そしたら俺にも売ってくれよ」


「高くつくぞ」


悪い笑みを向ける


「望むところ!」


「ばかばっか」


綾香からは呆れの視線が送られた


「にしてもこう男子が変態だと夜も怖くて寝てられないわ〜」


ワザと余計に女の子っぽい声を出す


「安心しろ、お前には興味などない」


それを大地が鼻で笑う


「何だと!?この変態ゴリラが!」


「誰が変態ゴリラだ!」


「ちょと、喧嘩はダメだよ!?」


「安心しろ、こいつらはいつもこんな調子だから」


「安心できない…」


今回のキャンプで安心を与えるどころか不安を与えてしまったようだ


「さて仲のいい二人とも、喧嘩してないで

そろそろ辺を散歩に行こうぜ」


「仲がいいかどうかはさて置き、そうだな

行くか」


「私もいく〜」


「もちろん花下も行くよな?」


「もちろん!」


四人で楽しく散歩を始めた



「いや〜やっぱ自然はいいね」


しばらく進み少し森の方の道に入った


「そうだな、俺もそう思うよ、この部活に入れてよかった」


無理やり…少し強引に先輩に入れられた部活ではあったが、実際入ってみるとそのお陰で今まで経験した事なかったことがたくさんできた


「そうね、私もそう思う」


「先輩達に感謝しなくちゃな」


「いいわよそんな、それと同じくらい迷惑かけられたし」


「たしかに」


思わず苦笑いを返す


「ねえ、赤石」


少し声のトーンが下がる


「あの約束まだ覚えてる?」


「ああ、覚えてる」


確か三学期期末のテスト全教科80点以上

とった暁には、1日荷物持ちをする事になっていた


「来週の週末に行くから空けといてね!」


「本当にできるとは思ってなかったよ」


少し偏差値高めのこの学校に置いて全て80点以上はなかなか取れない


前を歩いている青木が不意に後ろを振り向き


「ふっふっふ〜、乙女の力を舐めんじゃないわよ!」


満面の笑みを浮かべる


「ああ、恐れ入ったよ」


こっちも笑って返した


「それより青木、少し顔赤いぞ?

動いて少し熱くなってきたな、少し脱ごうぜ」


「そうね、その通りかもね…」


「おい、幸田!見てみろ!高級キノコが生えてるぞ!」


「もう、柳沢君はしゃぎすぎだよ!」


少し後ろを歩いていた二人がキノコを見つけたようだ


「え、マジ!?すぐ行くぞ!」


大地の方に早速走り出す


「ちょ、赤石待って〜!も〜」


ちなみにそのキノコをネットで検索すると毒キノコだった

危なすぎる

皆さんもキノコは結構似てるのがあるので

気おつけてね





「花下さん、それ切ってもらっていいか?」


「りょうかいです」


テキパキと大地の指示に答えていく


「うわ〜綾香さん結構料理手馴れてるね?」


青木がキラキラした目で彩花を見る


「たまに料理手伝ってるからね」


「うわ、耳が痛い」


「俺も」


いまだにキャンプで簡単なものしか作れない


「お前らも親を手伝ったらどうだ?」


「ちょっとおじいちゃんの遺言でね、料理しちゃいけないの」


「な訳あるかい!」


軽くチョップを決める


「にしても先輩遅いな」


大地がスマホを覗き込む

確かに予定時刻を少しすぎている


「まあ、も少し待って連絡来なかったら電話しようか」


「そうだな」


そんな事を話していると向こうからこちらに歩いてくる人影が見える


その姿は薄暗くなってきた景色に飲まれる事なくそれすらも取り込んでしまいそうだ


黒く長い髪に、美しく綺麗な顔立ち

ウエストは細く、それゆえ体が強調される勉強、スポーツ万能のお嬢様だ


「あ、岩上先輩お疲れ!」


「青木さん、毎回思うのだけど先輩には敬語を使うものじゃないかしら?」


「いいじゃないですか、私と先輩の仲ですし!」


「親しき中にも礼儀ありよ、まったく」


「先輩お疲れ様です」


青木とは反対に大地はここでもしっかりと挨拶をする


「ありがとう、この部活に彼みたいな常識人が居てよかったわ」


まるでやれやれと言って感じでため息をつく


「先輩、さすがにそれは無いですって

あとお疲れ様です、先輩」


「あれ、あなたが噂の赤石君の許嫁?」


「先輩、おれはスルーですか?」


納得できない


「許嫁ではないです!」


顔を真っ赤にして慌てて答える


「ふふ、かわいいわね

私は三年生の いわかみ しずく

雫でいいわ、よろしくね」


微笑みながら手を差し出す


「えっと、私は花下 綾香です!

私も綾香って呼んでもらえれば!」


テンパリながらどうにか言葉にして握手する


取り敢えず今回のメンバーは全員揃ったので一安心だ


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