第5話できること、できないこと、そして…

ニキーが言っていた通りこの辺りはモンスターが少なく町までの道中はたいした戦闘もなくたどり着く事ができた。




「これが…エルク町…といかもう街いや都市だろう…」

町と聞いて想像していたよりも遥かに大きく高い城壁に囲まれ「え?これ王都とかじゃないの?」という感じすらしてしまう。

何でもここは元々王族だった人が一から開墾して作った町だそうだ。


「はい次の人…」

門には行列ができており門番らしき人が検閲をしているようだ。


ニキーはその行列に並ばず人がいない隣の門へと向かったのでレオンと俺は付いていった。


「あ、ニキーもう帰ったのか?」

プッ!と吹き出しそうになったがなんとか堪えた。


「ああ、緊急事態だ!ストラ山にドラゴンが現れた!」

辺りにいた人達に緊張がはしる。


「な、なんだと!それでこっちに向かってるのか!?」


「いや、それは大丈夫だ。一緒に遭遇したじょ…女剣士がうまくやったらしい…帰り道に見かけなかったから奥に逃げたか倒したんだろう。」

すぐに来る事が無いと判明すると場が少し緩む。


「脅かすなよ…でその女剣士様はどこへ?」

一応ここにいるけどね…


「こいつが言うには山の向こうへ行ったらしい。」


「山の向こう…アトラか…」


「それはまあいいだろう、それよりもドラゴンについてだ。」


「ああ、わかった上には報告しておくエルク様の事だすぐに捜査が始まるだろう」

門番の言葉に頷くニキー。

エルクというのは町の名前だが恐らくここを作った王族の事だろう。


「っでニキー達は町に入るのか?」


「ああ、今のままではレオンを連れては行けないからな」

ドラゴンヘルモスはもういないんだけどね…まあ1体とは限らないか。

「ではお前たちも水晶に手を置いてくれ。」

…何これ?

ニキーとレオンがやっているのを見よう見まねでやってみると


19302213

ユウト


「はいOKですどうぞ中へ」

と通される。

数字と名前?というか何でユウトと出ている?

…それにこの数字どこかで見たような…

一休さん193お兄さん02213…これ俺のログインIDじゃん!

ユウトはユーザー名か!

…本名まんまで入れたから気がつかなかった。


でも何でこれで通れるんだ?


「ユウト?お前も宿を取るんだろ?」

ニキーが振り返り声をかけてきた。


「あ、ああ」

そういえばゲームの時はスキルと自然回復かアイテムだけで宿屋って概念はなかったな。


「あ、ニキーさんレオン君お帰り!」


「ッ!」

危なかった。油断できない!


「えーとあなたは初めましてですね…?」

首を傾げながら頬に指をあてる。


「では宿屋木漏れ日へようこそ!」


「一泊二食付で500マーニとなりますが?」


「なら…とりあえず二泊頼む」

…通貨はゲームと同じか

確か資金は2000万マーニぐらいあったからそのぐらいなら問題ない。


「ではこちらに手を…」

また出てきたなこの水晶。

言われる通りに手を置く。


(あれ?そういえば支払いってどうやるんだろう?)

ゲームの時は資金は数字だけで支払いは数値が減るだけだった。


「はいユウトさんですね金額に間違いが無ければ承認お願いします。」


水晶の台座にくっついている板に宿泊代1000マーニを支払いますか?YES/NOと表示されていたのでYESをタップすると支払い完了の文字が表示される。


…見た目中世ぽいのにすげぇハイテク!


しかし、支払い方法はハイテクなのに宿には風呂はなかった。


夕食は可もなく不可もなくあえて言うなら…

「野性味が強すぎる…」

やたら獣感が強い料理ばっかりで少しキツかったが食べらない事はなかった。


「さてと、とりあえず調べるか…」

メニューを開く。


「まあ某デスゲームよろしくログアウトはできない…」


「ログインボーナスは…え?出るの?」

プレゼント箱をタッチすると「復活の光石×1」が収納されたとログが出た。


「じゃあ…」

ゲームの時は一日2回やり直しが可能なルーレットチャレンジという一種のオマケ機能があった。


「お!」

タッチすると目の前にアイテムアイコンがいくつか書かれたルーレットが表示される。


タッチすると回り始めもう一度タッチすると玉が発射される。


コロコロと転がり回転が次第にゆっくりとなって止まる。


≪1000マーニ≫

これでよろしいでしょうか?

YES/NO


「…微妙だがとりあえずいいか」

YESを押す。

今回の宿代がタダなったな。


「…ん?倉庫?」

メニューに見たことの無い項目を発見する。


「とりあえずポチッとな!」

押すとそこには…


「…ゲームの倉庫がメニューにある?」

それならアイテムと統合してもいいだろう…

まあゲームの場合はいちいち倉庫に行かなきゃいけなかったから楽だけど。


「あとは…あ!マイルーム」

マイルームとは各プレイヤーが一つ作ることができる箱庭である。

お金を払って土地を買い素材から家具などのオブジェクトを作り好きにレイアウトできる。


「…ええいもうどうにでもなれ!」

マイルームをタップすると周りの景色がガラッと変わる。


ユウトは一時期マイルームにはまり最大値まで購入しておりそこで作った家は…


「…実際に見るとでかいな…」


どこの貴族かというぐらいの豪邸になっていた。

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