第6話 2019/10/20 沈黙は金とか

 本日は10時起き。うがー。一日が短い。今日は何も出来そうにないな。頭もいまいち回らない。まあ、たまにはこういう事もあるか。仕方ない。


「沈黙は金、雄弁は銀」ということわざの意味には諸説ある。現代の感覚では沈黙は雄弁に勝るという意味に取れるが、かつては銀の方が金よりも価値があった。よって雄弁は沈黙に勝るという意味である、という主張があるのだ。本当のところどちらなのかはよくわからない。

 しかしどちらの意味であったとしても、沈黙に一定の価値があることは認められている。確かに「男は黙ってサッポロビール」というキャッチコピーもあったように、ベラベラと喋りまくるよりは黙っていた方が説得力を感じる場合もあるだろう。

 とは言え、自分たちに都合の悪い事を隠すための沈黙に、金の価値があるとは思えない。それは卑怯な沈黙であるし、そのために人の命が失われたとなれば、被害者の遺族はとても許す事など出来ないに違いない。

 昨年10月にインドネシアで、そして今年3月にエチオピアでボーイングの737MAX型機が墜落し、合計で350人近い人が死んだ。同機の失速防止システムに欠陥があったのではないかと推測されているのだが、2016年に行われたシミュレーター試験中に、ボーイング社の当時のチーフテクニカルパイロットが、同僚に送ったインスタントメッセージの中で、システムが「作動しまくっている」、システムの性能は「実にひどい」「規制当局に(意図せず)うそをついてしまった」(以上AFP)と述べているらしい。

 ボーイング社はこの事を認識しながら、アメリカ連邦航空局(FAA)に伝えず隠蔽した疑いがある。実際ボーイング社はこのメッセージの存在を17日までFAAには公表せず、非難されている(司法省には2月に提出したそうなのだが)。

 737MAX型機の墜落については認可を出したFAAも刑事責任を問われているのだが、この意図的な隠蔽が事実であるなら、ボーイング社の責任は極めて重大と言える。

 ボーイング社は民間から軍事まで、アメリカの屋台骨を支える巨大企業の1つであるが、18日の株式市場では6.8%下がり、また737MAX型機が運行中止を余儀なくされているために、現在までに84億ドル(約9100億円)のコストが発生しているという。もしかしたら近い将来、経営破綻という言葉がちらつくかも知れない。まあさすがにアメリカ政府が潰さないとは思うのだが、相当に追い詰められる事にはなるだろう。沈黙が金ならぬ多額の賠償金を呼び寄せる事になるのだろうか。


 世界がデモで揺れている。香港のデモはまだ続いているが、昨日デモ参加をよびかけるチラシを配っていた男性が刃物で刺される事件が発生した。容疑者の男は「香港は中国のものだ」などとわめいていた模様。背後関係が明らかになっていないので何とも言えないが、今日行われるデモが過激化する事も予想される。

 一方スペインのカタルーニャ地方では独立派の指導者9人に禁固刑が言い渡された事を受け、14日から抗議デモが続いている。18日にバルセロナで行われたデモには50万人が参加、一部が警官隊と衝突した。またゼネストも行われ、空港では57便が欠航した他、観光地が閉ざされるなどしたそうだ。

 南米チリの首都サンチアゴでは地下鉄運賃の値上げをめぐり抗議デモが発生、これが暴動へと発展し、ピニェラ大統領は非常事態宣言を発令した。電力会社や銀行に火がかけられ、地下鉄駅には火炎瓶が投げ込まれたという。

 さらに中東のレバノンでは、ただでさえ劣悪な経済状況に加えて、メッセージアプリでの通話に課税しようとした事で政府に対して怒りが爆発、17日から大規模なデモが発生して政府の退陣を要求、治安部隊と衝突しているらしい。

 虫けらはデモそのものについては否定的ではない。日本にはデモが少なすぎるとすら思う。だが、このレベルにまで行ってしまうとさすがに困る。破壊的なデモが世界的なムーブメントにならなければ良いのだがと心配になってしまう次第。


 心配になると言えば、メキシコの治安当局は17日、すでに逮捕されている麻薬王『エル・チャポ』ことホアキン・グスマンの息子、オビディオ・グスマンの身柄を一時拘束したものの、麻薬組織側から攻撃を受け、解放したと19日に発表した。このときの衝突は6時間に及び、麻薬組織側が5人、民間人1人と兵士6人が死亡、警察官3人が負傷した。

 麻薬組織は機関銃や装甲車両など、治安部隊を上回る武装をしていたらしく、ロペスオブラドール大統領は「状況は非常に厳しく、多くの市民の命が危険にさらされていた」(AFP)「犯罪者の捕獲は多数の住民の命以上の価値はない」(CNN)と当局の判断を擁護しているそうだが、納得の行かない国民もいるだろう。

 て言うか、こんな言い方はしたくないのだが、現場に赴いた当局者に対し、容疑者を射殺する権限が与えられていたなら、こんな事にはならなかったのではないか。何故それが出来なかったのか。

 国防相は、この作戦が杜撰であったと認めているそうだが、本当にただ杜撰だっただけなのか。何か裏があるのではないかと疑いの視線で見てしまう。メキシコはこの先、大丈夫なのだろうか。


 イギリスの下院議会は19日、政府とEUが合意した離脱協定案について採決を見送った。「内容を理解するのに時間を要する」というのがその理由だという。これを受けてボリス・ジョンソン首相はEUに対して離脱延期を要請する書簡を送ったのだが、これに署名せず、同時に延期を望まない旨を記した書簡をEUに送ったという。

 離脱協定案が議会で採択されなければEUに離脱延期を要請するというのは、法律で決まっているために要請しない訳には行かない。だがジョンソン首相は延期をしたくない、なので延期要請の書簡にはサインせず、延期を望まないと書いた書簡にはサインをした訳だ。EUからすれば「面倒臭い」としか言いようがないと思うのだが、他人の迷惑など知ったことではないのだろう。

 月末の離脱期限まで、あと10日ほどしかない。もうこのまま合意なき離脱へと突っ走る可能性が高いのではないか。虫けらはボリス・ジョンソン氏が嫌いだが、もし合意なき離脱になったとしても、それは首相だけの責任ではあるまい。政府と議会全体の責任だ。国民がその尻拭いをせねばならないような結果にはならないでほしいのだけれど。


 今日はこんなところで。もっと面白いネタがあると良かったのだが。

 何故か数日前より部屋に蚊が出ている。暑い間は出て来なかったのに、いったいどこからやって来たのやら。毎晩ブンブンうるさくてかなわん。厄介な厄介な。

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