王子の身代わりを通して、少女は出自と恋に向き合っていく!

水龍国の田舎貴族の娘として育てられた少女カナンは、ある日自身が水龍国の王女である事を知らされます。
更に、カナンと血の繋がった兄王子シオンが病床に伏しているとも知らされ、シオンの身代わりになり、近日来訪する大国・月紫国の皇子トゥランの接待を命じられてしまいます。
不安を抱えたままシオンの身代わりをこなす中、カナンは水龍国や月紫国、そして周辺諸国が抱えている問題を知る事になります。

カナンとトゥランの恋模様が主軸ではありますが、各国の情勢にも重きを置いており、複雑な人間模様が物語の中で描かれています。

また、カナンとトゥランが接していられる時間は、物語を通しても決して多くはありません。
王家の血筋は引いていてもカナンは地方へ養子に出された身であり、トゥランは月紫国の務めで駆けずり回るので、接点が殆ど無いのです。
しかし会わない時間が多いからこそ、互いに互いの事を考え、恋心を育んで行く…そういった心境の変化を感じる事が出来ます。

時には病弱な王子に、時には王女の付き人に、時には婚約者に。
身代わりの務めを通して、自身の出自と恋に向き合っていく少女の生き様をお楽しみ下さい!

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