光が遮るその前に。

やっほーう

プロローグ 闇夜を砕くその銃は

 ここは電子と蒸気の都市、ヴェーポリウム。

 通り過ぎる蒸気機関の鉄の塊の煙が都市と闇を白一色に染めていく…。

 その煙と電子の光が建設途中のビルに差し込む。

 そこには怯えた様子で崩れる姿と、落ち着いた様子で銃を構える姿があった。


 銃を構えた影は分厚い親指をゆっくりと撃鉄にあてがい下ろす。乾いた金属音がなった後、影は静かに狙いを定めると、怯えた影は身構えた。


 それから何秒、何分が経ったのだろう。


 尻をついている影は恐る恐る前を向いた。目の前には以前変わらなく黒い穴があり、脳天に向かって真っ直ぐに伸びている。

 しかしおかしなことに一向に弾が鉄の筒から顔を出さない。


 −しめた、蒸気が弾をシけらしたに違いない−


 怯えていた影はそうに違いない、と頭を下げ安堵した。少しばかりの平穏と落ち着きを取り戻した影はしっかりと前を向いた。

 途端に男の顔は死人よろしく白くなっていった。なぜならそこにあったのは真夜中に現れた太陽のような眩いほどの光−−。


「そうか、お前が−−」


 口に出した言葉が言い終わる前に光の一閃は倒れた影ごと全てを包み込んだ−−。






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