第51話 政党を作ってみた


「いやー柳田さん。お久しぶりですね」

柳沢さんは嫌そうな顔をしながら口元をへの字にして挨拶を返した。

「川上さん国家公務員は給料が安定してるんです。よほどのことがない限りクビになることもありません。なのでお誘いは嬉しいのですが残念です」

さらりと、艶やかに言ってのけた。


「そうなんですか。こちらはとしては部長待遇で年収10億ぐらいを考えてました」

「柳田さんがダメということであれば、どなたかご紹介いただけると助かるのですが」

「ひき抜きする人は残念だけども柳田さんみたいに素晴らしい能力が無いみたいだから、まあ年収1億がいいところでしょ」と殊更に柳田さんをヨイショしておく。


「政治家になって己の裏面っていうやつを現実化したいっていう奴がいたらご紹介して頂ければ助かりますよ」


この言葉に何か思う事があったのか余裕があった微笑みは消えた

「2-3日考える時間が欲しい」


立候補擁立と法律改正案の草案作りにはかなり時間がかかっているが従業員の1割とその友人などに声をかけて言ってやり繰りしている。最終的には全国に立候補すればいいと考えている


ちなみに新党の名前は「黒龍の党」である。龍がついてるのと名前がかっこいいので選ばれた。無難な方が良かったのだが、周りに押し切られた。


今回の選挙で立候補する我が党の人間にはある条件をつけていた。うるさい宣伝カーでの選挙はしないサイレント選挙というものだ。私は休みの日に休んている最中に怒鳴り込んでくる宣伝カーは大っ嫌いだ。故に逆を取ってみる。聞きたい人にだけご説明する。応援してくれる方のみ話す。


政党の応援も派手に行くことでした。県の大きいヘリポートや公園などを使ってドラゴンを連れて飛んでいく。そのドラゴンを見たさに集まった人に講演をするのだ。ドラゴンに危険がないと認識させるのに役立つだろう。


政党の政策方針は中道主義で左派右派共に関係ない。古い法律の改定、憲法改正とダブルスタンダードの解消などが主な政治目的である。外交的にも中間的思想主義で戦いたい。 自由経済であり、共産的な労働者の保護や弱者救済も中間的な視野でいきたい。


柳田さんは結局やることがあるという事なので断念した。代わりに紹介されたのが文化庁の前田さんだ。

「彼はこれでも人脈が広く使い勝手は良いそうだ」


柳田さんのやりたいことというのはよくわからないが、来れないものはしょうがない。前田さんを頼りに頑張っていくしかない。


「じゃあすいませんが前田さんは政治資金の管理と立候補者の選出をお願いします。 あと、 政治資金が不正に使われたり消えたりした時はあなたの首が飛ぶと思ってください。これは解雇という意味ではなくて、実際にという意味なのでお忘れなきよう」


ちょっと脅し文句をつけて前田さんとは別れた。


その後にグダグダ3人集が集まって話を始めた。

「加藤さんあの前田ていうの大丈夫」

「柳田さん推薦だからまあ、やるんじゃないの」

「僕は売買専門ですから政治はノータッチで行きたいんです」


しかし本当にドラゴンで政党できるのかね。ドラコが暴れて建物壊したら政治生命は終わるよ。


しかし末端の政治家なんか知名度なんかあるはずがないドラコを前面に出して注意を引いて戦っていく。お土産を買ってきてドラゴンをなだめながらやるしかあるまい


近場の鹿児島県の立候補者の応援にドラコで駆けつけてみた。

ドラコを見たさにものすごい数の人が集まっていた。フラッシュがパシャパシャとこれでもかと言うくらいに焚かれる中で演説をしてみた。意外と聞いてくれた人は多く特にダブルスタンダードの所は「そうだ!そうだ! 」と支持してくれていた。


あと NHK の小島さんのコネを使ってどんどん映像を流してもらうしかないな。


意外と小さなアイデアしかないがやってくしかない。相談したい時にいないジェーン。彼女は何をしてることだろうか

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