第48話 対ドラゴン用の秘密兵器

私は部屋に残ったジェームスと私は話を始めた。

「 D 対策本部にいたんでしょう。トオルの作戦が失敗したら攻撃するつもりだったんだよね。武器は考えていなかったのかしら? 」


私は不躾にそうジェームスに単刀直入に聞いた。今更取り繕ってもしょうがあるまい 。


「もちろん考えていたさ。非常に予算はかかるが人工ダイヤを弾頭につけたミサイルを GPS 誘導でぶち当てる計画だった。なんといってもダイヤというのは一番硬いからな。一発で確か100億ドルぐらいはしたと思ったぜ。しかも炭素は燃えるから再利用は不可ときたもんだ」


なるほどと思った。まあトオルの無茶な作戦だけでアメリカが動く理由がないよな。効くかどうかは分からんが一つの武器としてはアリだと思う


「しかしダイヤ一発だけでは倒せんだろうね。他には何か考えていなかったのか?」

ジェームスはそんなに単純な男じゃない。腹案も当然あるはずだ。


「考えてはいたぞ。こいつも非常に金がかかるが、ドラゴンの鱗を弾頭ミサイルにつけてぶつけてやるのさ。今現在考えられている作戦はドラゴンに GPS を打ち込む。その GPS を頼りに鱗がついたミサイルとダイヤのついたミサイルの二つをぶつけてやるのが最優先の作戦さ」


なるほどと思った。聞いてみればそれほど悪い作戦ではない鱗を貫通してミサイルさえ当たればなんとかなると思う。


「この作戦にも問題はあるのさ。どうやってドラゴンに GPS を打ち込めばいいのかということだ」


「ふーん。でも一応考えてあるんでしょう。さっさと喋れってよ」

どうせ腹案を持っているんださっさと喋れと冷たく言い放った。


「へいへい。これですよ」

そう言いながら取り出したのは陛下に献上したはずの 『哭龍』だった。


「それは陛下に差し上げたはずだわ。何故貴様が持っているの」

驚きとともに強い口調で差し迫った。


「まあ宮内庁の人間に偽物と差し替えてもらったのさ」

嫌な事を平気な顔で言うジェームスを侮蔑の目で私は睨んでいた。


しかし奴は平気な顔をしながら話を続けた

「こいつを溶かしてNATO弾の先端につけて GPS を埋め込んで打ち込む。奴の体内に入ればミサイルの先導を果たしてくれる予定だ」


まるで、その刀が自分の物のようにかざして光を当てて見ているジェームスだった。


「そんな固い弾頭ではライフリングできないんじゃないのか」

「あーだからアメリカ国内にあるドラゴンの鱗は全部買う予定だ。そいつで専用のライフルを作る。後は日本の精密な軍事衛星で誘導させてミサイルで決着をつける。確かレーダー5号機と光学5号機の30cm精度の衛星かな」


「日本軍を動かすのは難しいと思うわ。どうするつもりなの」

「そこについては当てがあるのさ、既にな」


なんて胡散臭い男なんだろ。きっと黒幕に近いのもこの男だろう 。ドラゴンと一緒に殺してしまいたいという気分も味わっている私だった。だが少しだけ勝つためのルートが見えてきた。


ジェームスが居なくなった後にオーストラリア軍の攻撃映像を見ていた。最高解像度で見ているが、当たる前に爆発している様にも見える。ドラゴンにはまだ秘密があると見ておいた方が良い。憶測だが魔法の障壁ぐらいならドラコならやりかねない。つまり魔法を解除できるか、解除できるような魔法攻撃ができるのはトオルと私だけという事だった。




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